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『荒野の恋(2)』タカハシマコ×桜庭一樹

荒野の恋(2)
作画:タカハシマコ
原作:桜庭一樹
講談社コミックスなかよし
2012.7.6
★★★★☆

 桜庭一樹原作の『荒野の恋』シリーズ、コミック化二巻目です。

 コミック版一巻を読んだ直後に原作小説版を全巻読み、二巻では一巻とは読み方が変わりました。原作小説に対して「お〜、こういう表現になるのか〜」と最初からじっくり読むように。漫画でも小説でも初読では作品世界を掴みきれずに中盤まで手探りで読むことが多いのですが、原作を読んでいると細かな部分にまで目がいくようです。比較しながらの読み方でも楽しかった。

 あらためてコミックという形で読んでどっしり来たのは「愛人を幾人も持つ父のいる娘」の視点でした。小説でもそれは描かれていたのですが文章であれば描かれなかった部分も、絵となると表現の密度が上がります。結果、愛人から愛人へとふらふらと泳いでいる父を見る荒野がしっかり読者に見えることになり――。
 子としては辛い環境だな、と作中の荒野とともに溜息をつくのでした。掲載誌の「なかよし」の読者には荒野の境遇がどう映ったのか気になりました。

 コミックス二巻は原作小説一巻の最後までの内容です。この先、最後までコミックス化すると六巻構成……ということになるのかな?
 無事完走・完結しますように。

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