『あさがおと加瀬さん。』高嶋ひろみ
あさがおと加瀬さん。
高嶋ひろみ
新書館ひらりコミックス
2012.8.15
★★★★☆
あらすじ
加瀬さんは陸上部のイケメン女子。園芸部で花壇の世話をするくらいしか取り柄のないどんくさ主人公はさりげなく交わした会話で加瀬さんに憧れてしまうのでした。と、文章にするととても少女漫画な感じですし、絵柄も演出も純正少女漫画調ではあるのですが、定番設定にありがちな陳腐感とは無縁で瑞々しさが魅力的です。加瀬さんは爽やかでかっちょよくて、でもときどき視線がむっつりスケベでもあったりして。ドジでどんくさい主人公もテンションの振り幅がはっきりとした面白キャラで魅力的。そんな二人のささやかな日常がテンポよく描かれます。出会いを描いた「あさがおと加瀬さん。」。登下校にまつわるエピソード「自転車と加瀬さん。」。カラオケネタの「ラブサングと加瀬さん。」。校内マラソン大会を前に一緒に買い物にでかけた「スニーカーと加瀬さん。」。加瀬さんに選んでもらった靴でのマラソン大会編「春風と加瀬さん。」ではちょっと意外な進展も。
「加瀬さん」シリーズは「ピュア百合アンソロジー」というコピーのつく『ひらり、』の少女漫画的なところど真ん中の印象です。
ひらり、掲載時との違い
『あさがおと加瀬さん。』を一読し初出時の「春風と加瀬さん。」後半ってこうだったっけ、と首を傾げました。巻末の初出一覧を見ると「加筆」と添えられています。むむ、と思って『ひらり、』vol.7掲載分と見比べてみると……。
お〜! 加筆というか、ページ構成からして変わってます。ページ数自体も増えていて、重要な違いが。描き下しの追加エピソードこそありませんが、掲載時から気になりつつ単行本の購入を迷っていた方は“買い”な気がします。
他にも
- 自転車と加瀬さん。
下校時の加瀬さんの鞄が肩掛けから斜め掛けに変わっている。コマ単位、キャラ部分丸ごと描き直されている部分もいくつも。
- ラブソングと加瀬さん。
加瀬さんが音楽購入しているらしいコマ〜次のページまで、カラオケルームに加瀬さんが飛び込んでくるシーン、川原シーン。
など、大きく手の入れられているエピソードもありました。
仕切りページのワンポイントイラストも可愛い。描き下ろしのあとがきは2P。巻頭カラーには『ひらり、』vol.7の扉に使われたプリクラ風カラーイラストがアレンジされて掲載されてます。
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