『くろよめ』かずといずみ
くろよめ
かずといずみ
芳文社まんがタイムKRコミックスGLシリーズ
2011.2.11
★★★★☆
昨年二月刊行のコミックスの感想です。
同人作品と『つぼみ』誌掲載の「めとらば」を合わせて本にしたもの。同人部分は「めとらば」の前日譚的な位置づけのお話です。主登場人物は違いますが。テーマは“嫁”。百合漫画アンソロ誌に掲載ということで百合的ではありますが、恋愛物ではない……かな。
とっても優秀なOLで大きな昇進が目前の光子。同僚と飲んで「嫁が欲しい!」と喚いた翌朝、起きてみたらお嫁さんがいました。嫁本人は世界嫁派遣協会から来たという無料体験嫁だというのですが……という「くろよめ」。
大きな賞を受賞して大活躍の女流小説家。小説は頑張ったけど家事は苦手で家は魔窟状態。うっかり引き受けてしまった「お宅拝見」的企画のために雇ったのがお嫁さん。「くろよめ」に登場した世界嫁派遣協会改め「めとらば」から来たのは若くて可愛らしくて、家政婦的イメージとはかけ離れた子だったのでした。おおいに気に入った小説家先生はさらに大活躍。ところがと話の展開する「めとらば」。
ほぼ同量のボリュームのお話ふたつ+両方のお話の後日談的短編二本+あとがき漫画。「くろよめ」は同人版からかなり手を入れたとあとがきにありました。
面白いです。
生活能力の高い優秀な女性と健気な“お嫁さん”の組み合わせのお話で、古典的な“嫁”のイメージと“嫁”を必要とする働く女性のペアはかずといずみ漫画の王道&保守なところと相性が良かったように思います。『貧乏姉妹物語』でのちょっと大時代的なトラブル設定に比べると洗練されたお話の印象で、とても馴染みやすく楽しい“嫁”話であると思います。男性主人公の元に“嫁”が派遣される話は今の時代だとちょっと受け容れにくいかもしれませんが、できる女性と家庭的な女性と、という組み合わせはほのぼのとします。現実でも社会で活躍している女性には「お嫁さん欲しいなー」的なことをいう人はいたりしますね。
かずといずみは「銭湯ハワイ」という作品が『つぼみ』に不定期?で載ったりしています。『くろよめ』に続く職業もの、かな。
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