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『レンアイ♥女子ファイル』森島明子

レンアイ♥女子ファイル
森島明子
一迅社百合姫コミックス
2012.11.18
★★★★☆

 『百合姫』掲載作5本、描き下し2本の百合コミック短編集です。パートとしては三つ、高校生カプと大人カプを対比させた恋ハナシリーズ、『瑠璃色の夢』収録の「ハニー&マスタード」から世界の繋がるレンアイ女子課スピンオフのレンアイ女子探偵ファイルシリーズ、高校演劇部を舞台にした「ふたりのミルキーウェイ」。

 描き下しは恋ハナシリーズが16ページ、ミルキーウェイの四コマが2ページ。カバー下にも四コマがあって『百合姫』購読派にも未見要素いっぱいです。

 見所は、初々しいティーンの百合カップルと大人百合カップルを対比させて描くようになってきたことによる気のする大人組の「ちょっとおばか」感。大人の余裕の部分も実はちょっと可愛かったりするのだよ、とコミカルに見せてくれます。ミャーコ先生のウチとソトの落差は何回読んでも可愛くて可愛くて。ティーン組のキリキリと張り詰めた感じも大人組のおばか感があってこそ。

 森島明子のお話は百合漫画読みとして濃い人から初心者まで、広く勧めて「面白い!」と言ってもらえる気がするのです。手塚治虫的なポピュラーさを大切にする姿勢みたいなものがあってこそできてくるお話たちのような。描写的にはベッドシーンなんかもありますが、読んで気まずい感じがしてくるタイプの性描写ではなく(大人同士であれば)友人に「面白いから読んでみなよ」と渡せる感じかな。ぱっと見の健全感・ポピュラー感の底にエロスが潜んでもいるのですが。

 作者は現在『百合姫』では写真部モノの連作を掲載中。『楽園の条件』『瑠璃色の夢』『半熟女子』シリーズ『レンアイ♥女子課』シリーズと読み返してみると少しずつ描くものの変わってきた森島明子。これからもどう変わっていくのか楽しみです。

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紅葉@豪徳寺

紅葉@豪徳寺

 2012年秋の豪徳寺紅葉状況です。ご覧の通りでまだ真っ赤という程ではないですが充分に色づいた枝もあり、黄や緑のままの楓もあります。

紅葉@豪徳寺

 見頃は十一月末〜十二月第一週でしょうか。

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『蒲田魔女』かずといずみ

蒲田魔女
かずといずみ
角川コミックス・エース・エクストラ
2012.7.2
★★★★☆

 私、蒲田生まれらしいのですが蒲田がどこにあるのかよくわからなかったりします。東急線に乗ると辿り着くし、京浜急行でも駅がある。駅では幾度か降りたことがあるし、駅近くのユザワヤで買い物したこともある。その近くの富士通もお仕事で行った。な〜んだよく知ってる、はずなのですが地図の上でどこにあるのかよくわからなくて世田谷区かな〜などと思っていたのですが、調べてみたら大田区でした。がーん。

 そんな、馴染みがあるようであまり知らない街、蒲田が舞台の四コマ漫画です。ほぼ女の子しか登場しませんし、作者的にも百合漫画の得意な方なので百合漫画、と言いたいところですが、蒲田魔女の懐いている相手は魔力の供給源であったり、懐き具合も一方通行っぽかったり(でも一応デレないツンデレの気はする)で百合がメインのお話ではないかもしれません。表紙の金髪さんが色々とダメなところのある魔女で、黒髪おかっぱさんにちょっかいを出してはトホホなオチを見せてくれる楽しいコメディ。蒲田のご当地ネタ満載感も、蒲田のことを知らなくても面白い気がします。
 かずといずみのいつもの雰囲気の可愛らしいお話でした。


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『コミック百合姫』2013年1月号

コミック百合姫 2013年01月号
一迅社
2012.11.17
★★★★☆

表紙

 パステルカラーで少女漫画調の表紙だ〜。こういう路線はリニューアル以前ぶり。ネットで表紙画像が出たときから折り込みの見返しがありそうだぞ、と予想はつけていましたが今回もありました。ギミック。可愛らしい絵柄の表紙に合わせた可愛らしい仕掛けが。

citrus サブロウタ

 前号で三本も新連載あったのに今号もさらに新連載。TL漫画的なキャラと絵柄の巻頭カラーで表紙のパステル調乙女トーンと合わせて今号の印象が一気に乙女雑誌に。スタートも年長組少女漫画的な「衝撃の展開!」シーンで攻めて来ました。これはインパクトあるなぁ。

犬神さんと猫山さん くずしろ

 今回はカラオケネタだ〜。このシリーズ、カプ固定なのかな〜と最初は思っていたけれど、いや、確かに基本カプはあるのだけど、毎回本命?カプ以外の組み合わせでも展開があったりして「ぉぉぉぉ〜?」と目が離せない。杜松さんはクセモノのようです。

月と世界とエトワール 高上優里子

 王道的女子校モノで今の連載陣では一番「少女漫画」らしい設定、絵柄、展開の第二回。巻頭カラーのサブロウタとともにこういう少女漫画らしい百合漫画が好みなのです。初回から妖しい人であった海百合さまはますます一筋縄では行かなさそうな“敵”のオーラを見せつつ、岸辺世界とのお揃いの指輪の謎も馬のニンジンのごとく見せつけられたまま引っぱられます。これよこれ。少女漫画はこうでなくっちゃ〜という展開。作者さんご自身の手によるこの作品の素敵イラストがpixivで公開されてました。

沼、暗闇、夜の森 さかもと麻乃

 うわ〜。今回のさかもと麻乃には思い切り振り回されました。えええ〜っ、という展開に。死んだ人を見、死人と話す主人公は生身の人との交流が苦手で。うーん。この話は説明は野暮かな。

センチメンタルダスト 河合朗

 不協和音に満ちた世界はこの作者独特な感じでとても尖った印象。百合姫コミック大賞の紫水晶アメジスト賞からの抜擢だけどいい人選んだな〜という印象。歩とひさ子の関係、もちょっと引っぱるのかな〜と思ったけれど意外と展開も速そう?

少女惑星 柏原麻実

 かしまみの連作は前回が変化球だったので今回も警戒?しつつ読んだのですが今回は直球な感じでほっと安心。不器用っ子のお話です。かしまみの作風自体も一般受け度の高そうな絵柄の割に必ずしも器用な感じではなくて、でもその感じが今回みたいなお話とはバランスしている気もしたのでした。

ダークチェリーと少女A ちさこ

 特別でありたい自分と日常と。ああ、あったあった、と十代の頃の自分を思い出してじたばたしてしまう話でした。少女時代真っ最中の子が読むとどんな感じがするのだろう。

丘上の約束 大北紘子

 異世界設定の印象が強力な大北紘子は今回は日常的設定。日常だけど、でも、この人の描く世界はトクベツ感がある気がする。パリッとした絵のせいかな。読者の側にべったりくっついてくるウェットなところがなくて、距離感を保っていてつつ、でも独特の情の濃さみたいなものもあって。とても好み。今回のお話は読み終えてタイトルページに戻ると「おお!」な感じなのでした。

心、咲ク季節 慎結

 美大の日常の中でちょっと甘い、ううむ、実はかなりゲロ甘なお話でした。なんだよ「ちらっ」って。も〜。可愛いじゃないかちくしょー。

ゆるゆり なもり

 ちょっとちょっと。今号の付録は「ゆるゆり」の過去作だったけどミスったと思います。年の変わる一月号で、本編でこのネタなら付録はこれしかない!というものがあるじゃないですか〜。

あまいゆびさき 宮木あや子/ロクロイチ

 無事完結。や〜、これは一冊にまとまるのが楽しみ。宮木あや子は読者をどん底に突き落とすような話も描く人なのでハラハラしたけど落ち着くところに落ち着いた気がします。

この愛の不幸は ふじはら

 第8回百合姫コミック大賞瑠璃賞作品。これはストーリーを紹介してしまうと台無しかな。少女の不安定さや狂気を描くというのも百合漫画・少女漫画が備えている魅力のひとつで、『百合姉妹』スタート時にはそういった話の比重も高かった気がします。この受賞作はそんな部分を強く描いたもの。

名前はまだない かずまこを

 シリーズものとして定着したらしい第3話。ゆったりとした空気感。長髪さんの方はずっと「名前はまだない」なのかな。

私の世界を構成する塵のような何か 天野しゅにんた

 むむ。芽流のビデオ出演を見つけた人と情報拡散し続けてた人は別だったのか。登場人物の多さと状況の複雑さでちょっとややこしいシリーズですが今回で状況は一段落、かな? そもそもの発端のレポートは大丈夫なのでしょうか……。

きものなでしこ 八色

 今回はキモノ蘊蓄回。TPO別にキモノ着せてお出かけとかも読みたいでござる。今回はかの子が感情面で積極的な感じです。これまで紗綾→かの子分強めなのかな〜と思っていたのでちょっぴり意外。かの子はキモノのお勉強をするみたいだけどこれからのキモノネタ強化になるのかな。楽しみ〜。

ツミキズム 井村瑛

 井村瑛、絵柄が今回ふわふわ可愛いタッチなっていて印象がずいぶん変わりました。百合姫コミック大賞からの登場当時は鉛筆?っぽいトーンを多く使っているように見えたのですが前々号からかな、ペンのみになってすっきりしてきたかも。

第8回百合姫コミック大賞結果発表

 前回は蒼玉、紫水晶、翡翠賞に加え瑠璃賞も四つ並びましたが今回は瑠璃賞が三つ。選評もけっこう厳しいことが書かれています。歴代受賞リストも更新しておきました。

ストレンジベイビーズ 大沢やよい

 短編「ブラックヤギーと劇薬まどれーぬ」からのスピンアウト的連載ですが、短編でのエピソードは100%こちらにも引き継がれていると考えて良いのかな? などと悶々としたところで「To be continued.」なのでした。あ〜、もう〜、三月号ま〜だ〜。

ふ〜ふ 源久也

 今回は指輪編。や〜、毎度ながらゲロ甘でした。って次回予告の柱が「ラブ2クライマックス」ってさらに盛り上げるのか。さらにゲロ甘なのか。ブライダルサロンは森島明子の「レンアイ女子課」で合作とかは無理かな〜?

めかくしのこい(前編) 竹宮ジン

 前髪ぱっつんキャラのヒロインは『百合姫』での竹宮ジン的には目新しい感じ。タイトルページ前からすると本編は過去編みたいなのだけどなんだかいっぱい設定ありそうなこの話、後編で全部はっきりするのでしょうか。

チェリーなカノジョ 森島明子

 三回掲載ものの第二回。写真部の暗い主人公・ネガとヒロイン・月宮さんのお話シリーズ。相思相愛が明らかになって晴れてカップルの二人だけど、基本的にネガティブなネガは自信が持てなくてやっぱりネガティブ思考に。写真好き的には写真部活動シーンもっと多くても嬉しいのですがそうなると百合漫画的には偏りすぎちゃうかな? 完結予定の次回が楽しみ。

メタモルノイズ 黒霧操

 ちさこと黒霧操はそれぞれ作風は違うけど、でも私は勝手に「百合本流」と思っていたり。吉屋信子の頃からの“少女”をテーマにしてきたお話たちの末裔としての百合漫画、という意味で。今回も成長と絡めて“少女”らしさを描きに来ていたように思います。

Cirque Arachne 再田ニカ

 サーカス方向をもっと押し出してくるのかな、と予想していたけれどテティとロッテの関係にまとまって比較的コンパクトな恋愛物の印象となりました。ちょっともったいない。隔月刊の連載だとスポ根的な方向には盛り上げにくかったのかな。もっと長期のお話で読みたかったな〜。脇役さんたちにもそれぞれドラマ回があって、うまくいかない技を主役二人で乗り越えて、みたいな。最終回は暖かく穏やかな感じでまとまって良かっただけに。

ウタカイ 森田季節/茂田家

 決勝戦で大いに盛り上がるのか、と思いきや意外と勝負はあっさりとついたもののラスボス戦が待っていました。しかも何じゃこのお笑いほのぼのオチは〜。異能バトルでズゴゴゴゴを予想していたのですが良い意味で裏切られました。イチャつきバトルじゃないですか。えーと、感想は「ごちそうさま」。

百合男子 倉田嘘

 今回はスキー合宿。今回は白啓介と黒啓介が出てきましたが、ここはあれです。白と黒でヌードフェンシング(©安永航一郎)でも繰り広げてくれないかななどと思いながら読んでしまいました。……すいません、下品で。そして謎の思わせぶり女子キャラは今回は完全スルーだったのでした。ふと思ったのだけれど、百合男子は女子パートってやらないのかな。リアルのセクシャリティとは別に百合漫画が好きな女子。なかなか出てこない女子キャラはそのあたりのためにスタンバってるのかもしれないなんて妄想をしてみました。

 次号予告にはタカハシマコと百乃モトの名が久しぶりに。小説二つがともに最終回を迎えたようなのでその枠がどうなるのかも気になるところです。また小説が載るといいなぁ……。

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『不自由セカイ』コダマナオコ

不自由セカイ
コダマナオコ
一迅社百合姫コミックス
2012.11.17

あらすじ

ヒロイン・茗子めいこがレイプ被害に遭うという設定がスタート地点となり、保護者的立場にあったはずの礼央れおは茗子を守れなかったということへの後悔から一転、茗子のいうことをなんでも受け容れてしまう「奴隷」という立場に。互いに離れられなくなってしまった“不自由”な二人の関係を描きます。

ネタバレあり感想

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古い写真

 押入の整理をしていたら昔のフィルムが出てきました。学生の頃に撮ったモノクロ自家現像です。ごく一部ですがスキャンしてFlickrにまとめてみました。

世田谷青果市場 1986年8月

 フィルムの現像処理が安定していなかったり、ピントが思い切り外れていたり、露出が変だったりと今見ると出来の悪い写真ばかりですが、こういった場所を写した写真もそう多くはないかなと公開してみました。

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小説創作とiPad テキストエディタ流浪編

 テキストエディタがない

 iPadで長文テキストを編集しようとして困るのがテキストエディタ。10万文字を超えると文字入力の遅延がひどくなって実用に耐えないものばかりです。

  • dropboxが使える
  • 日本語テキスト、ファイル名が扱える

という条件でいくつか評判の良さそうなエディタを試してみましたが、

200枚(8万文字)が読み込めないといったことはないものの、大きなテキストになると文字入力が重く、とても実用になりません。表示だけならばどれだけ長くてもさくさく・するするとスクロールするのに。

アウトライン

 一方で私は構造化テキストが好きです。小説を書くときにはとても重宝します。一太郎やWordで「アウトライン」と呼ばれているものと近いです。見出しをつけ、見出しの一覧から該当部分に簡単にジャンプできるような仕組。専用のファイル形式を使用するアウトライン・ツールは色々ありますが

  • wz形式テキスト
  • markdown

といったマークアップ言語ではテキストファイルのままでもアウトライン的なことが可能です。

wz形式テキスト

 wz形式テキストは行頭につけた“.”で見出しの階層を示すテキストです。wz editorで採用されていることからそう呼ばれているようです。SL-Zaurusでもwznoteといった対応ツールがあってとても便利でした。

markdown

 HTMLを簡潔に使用するための記法です。Wikiの編集画面で使われたりします。<p>だの<br>だのといった目障りな記号の代わりにスペースや改行記号の使い方でHTMLの標準的な記法の代用とします。

項目名 markdown記法 HTMLタグ
改行    (行末に半角スペース二つ) <br>
段落 (行末に改行二つ) <p></p>
見出し1(h1) # 見出し1 <h1>見出し1</h1>
見出し2(h2) ## 見出し2 <h2>見出し2</h2>
見出し3(h3) ### 見出し3 <h3>見出し3</h3>
強調 *強調* <em>強調</em>
強い強調 **強い強調** <strong>強い強調</strong>
引用文 > 引用文 <blockquote>引用文<blockquote>
箇条書き * リスト1
* リスト2
* リスト3
<ul>
<li>リスト1</li>
<li>リスト2</li>
<li>リスト3</li>
</ul>
順序リスト 1. リスト1
1. リスト2
1. リスト3
<ol>
<li>リスト1</li>
<li>リスト2</li>
<li>リスト3</li>
</ol>
リンク [リンク](http://example.net/) <a href=”http://example.net”>リンク</a>

 このmarkdown記法、1〜7の見出しレベルが使えるので一種の階層テキストになります。欧米圏のiPadアプリではこのmarkdown記法に対応しているエディタがあるようです。

青空文庫形式

 青空文庫のタグも3レベルだけですがアウトライン……というよりは見出しを付けられます。目次抽出用ですね。

項目名 青空文庫タグ HTMLタグ
大見出し ○○[#「○○」は大見出し] <h1>◯◯</h1>
中見出し ○○[#「○○」は中見出し] <h2>◯◯</h2>
小見出し ○○[#「○○」は小見出し] <h3>◯◯</h3>
ルビ |仮名《かな》 <ruby><rb>仮名</rb><rt>かな</rt></ruby>

 日本語のマークアップ言語であるだけにルビや傍点も指示可能なフォーマットですが、この形式をWYSIWYG編集できる環境はWin/Mac/iOS含めて見当たらないようです。
 Win環境ではwz writeはルビに関してはWYSIWIG表示できている模様。
 iOSでもルビのみ青空文庫形式に対応しているのが

ですが編集画面とビューワ画面が分離されているあたりは好みが分かれそうです。iText Pad/iテキストの両者は大きなサイズのテキスト編集でも重くなりません。素晴らしい。回り道をしていたら「長文編集に向いたテキストエディタがない」が解決されてしまいました。

 ところがこのiText Padは青空文庫用のタグ[#〜]を使用したテキストの編集ができません。iText Padに読み込む段階で青空文庫タグが排除されてしまい、タグの情報が失われます。青空文庫タグを積極的に使いたい私には向きません。非常に素姓の良いテキストエディットエンジンを持つだけに惜しく感じられました。

 Windows環境では秀丸を使用した青空文庫形式の階層の扱いやすい環境も用意したので、iPadでもせめて長文編集を苦手としないプレーンテキストのエディタだけでも、と思ったのですがそれは果たせないようです。

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ひらり、別冊部活女子アンソロジー『ほうかご!』

ほうかご!
新書館
2012.10.30
★★★★☆

 実質的には雑誌の百合コミックアンソロジー『ひらり、』の増刊です。部活テーマの特集号。

 手に取って一番に思ったのは「分厚っ!」でした。410ページ超で漫画が二十本。表紙の発色も良く、見た目のインパクトもたっぷり。平置きされていたら思わず手に取りそう。
 「けいおん!」を思わせるタイトルとロゴデザイン、際どさを押し出した扉絵イラストで第一印象は「『ひらり、』増刊というより『まんがタイムきらら』系っぽい?」感じです。

緑化委員と加瀬さん。 高嶋ひろみ

 この「加瀬さん」シリーズがきっかけかな〜と思った部活アンソロ企画。加瀬さんは相変わらずむっつりですが爽やかです。π/は意識しての登場させているのかしらん。山田と知り合いになる前の加瀬さん視点のお話でした。

花喰い 私屋カヲル

 タイトルページから開いた1ページ目、殺人ミステリか猟奇もの?と思いつつ読み進むと美術部の日常が展開。『ひらり、』よりも生々しいというか男子向けな感じのエサが用意されてる感なのですが食いついた身としてはヤラレタとしか言いようがなく。

放課後の彼女 森永みるく

 森永先生、これはメガネアンソロなんじゃ、とちょっと思った理化部。理系女子像がなんだか懐かしいタイプでちょっとほっとしたり。森永みるくは『つぼみ』でも虫話を書いていたし、きっと虫好き。嘘です。

ゆびさきでスキップ ふかさくえみ

 ピアノの話で始まって音楽部?と思いきや演劇部の話に繋がっていきます。四コマっぽい絵柄ですがドラマのある構成でした。一途に音楽を勉強してきた主人公の気づきのお話。

天使は傷だらけ 王嶋環

 バレー部の話、といっても故障でリタイアした元選手とゆるーくぬるーいバレーの同好会。本気でバレーボールをやってきた主人公はゆるゆるな同好会に誘われるのだけど……と始まります。淡々とした話に思たけどぐっと来ました。

ひとめあなたに 三国ハヂメ

 『百合姫』や『百合姫Wildrose』系でお馴染みの三国ハヂメ。『ほうかご!』には四コマで登場。足フェチの主人公がちらりと見かけた“美脚の君”を探してフィギュア部に関わるところから始まります。模型のフィギュア。このお話はもしかして作者的には模型愛のお話なのではーと思ったり。そっち方向押し出した漫画になってもいいと思いまーす。四コマで12ページ。ボリューム感あります。私の趣味的にこれはぜひ続きが読みたいです。

むっちゃんのアメとムチ 風上旬

 美術部漫画のはず……ですがおパンツ部と呼びたい。いや作中でもアレな呼称がついてますが。これは『ひらり、』だと載らなかった話かもしれない。下着姿くらいは『ひらり、』でも普通に登場しますがこちらはフェチ対象の下着ネタで。四コマです。

雨の日のマーメード 佐野妙

 水泳部のお話、なのだけれどタイトル通り雨の日の水泳部です。後者の廊下で筋トレ。水泳大好きっ子たちの雨の日トーク。『まんがタイムきらら』でありそうな女子たちのほのぼの四コマ。

ひとり部のふたり kashmir

 一人きりの演劇部。無音不足のために同じく一人きりの文芸部と一室に押し込められてしまったのですが、話しかけてみた文芸部員はなにやら変人の様子。演劇部復活のために努力を始める演劇部員の主人公だったが……。こちらもほのぼのというか爽やかでオチも良い感じについてました。

麻雀女子部活動中! 袴田めら

 作者本人も麻雀好きであるらしい袴田めらの麻雀漫画、と聞いて細かなゲームのやりとりが描かれるのかなと思いましたがドラマがメイン。めららしく食べ物もどーんと出てきます。これ、シリーズになるのかなぁ。シリーズ展開させられそうなキャラ設定が控えているような気がします。

マネージャーのお仕事 くみちょう

 バスケ部漫画、なのだけれど焦点はマネージャー。マネージャーと選手の関係、かな。読み応えある31ページ。熱いマネジもの。ぐっと来る感じがありました。

わびさび 平尾アウリ

 今回の平尾アウリは不可思議バージョン。不条理漫画と純正少女漫画(時々不条理)が1/2の確率で現れます。量子力学みたいな人です。一応茶道部だけど茶道あまり関係な(ry

箱庭コスモス 雑談カオス 桑田乃梨子

 桑田乃梨子は『ひらり、』連載の箱庭コスモスから出張版。今回はヨーコ先輩に焦点を当てて。

ねこぶ 前田とも

 猫目キャラな感じの主人公が立ち寄った猫部の日常、なのだけれど主人公視点は実はちょっと違うのでした。

ドラムカン百景 吉田丸悠

 美術部もの。『ひらり、』の新人賞出身の作者は強烈な表現が特徴で今回のテーマにはぴったりな感じ。インパクトありました。

ボルゾイとやまねこ 犬丸

 『ひらり、』掲載の犬丸の演劇シリーズからの出張掲載。このシリーズ、ひのみのキャラがちょっぴり受け容れがたい引っ掻き回し役だな〜と思っていたのですが、今回で印象更新。といっても主役はのっぽの七瀬とみなも。群像劇的なシリーズなのでこれは単行本にまとまってからが真骨頂の予感がしますが、読切としても面白いはず。

じゃじゃ馬ならし 藤こよみ

 さりげなく、かなりしっかり馬してる馬術部もの。もふもふ服を齧る馬がかわええ〜、と読んでいて百合成分を差し置いて馬ラブに傾いていきそうでもあります。それもまた良い、と思うのです。趣味ってそういうものだし。今回の『ほうかご!』ではこれが一番お気に入り。

プラネタリウム 三嶋くるみ

 天文部もの。ほのぼのした絵柄でほのぼのと……あー、ストーリー紹介するとネタバレになっちゃうかな。

ワン・ツー・ステップ 小橋ちず

 陸上部もの、ではあるのだけれどかなりマイナー競技っぽい二人三脚をテーマに。これはもうテーマ選択の勝利。ってネットで見かけた予告段階でもそんなことを呟いた気が。でもでも、競技の話としても面白いし恋愛未満友情以上的な『ひらり、』的なところにもぴったりだしでとても印象の良い話でした。

あの時の約束を果たすその日まで 藤沢誠

 柔道部もの。中学までは仲良しだった柔道二人組。別々の高校に進んで、進んだ先がそれぞれ柔道のライバル校。仲良しが急に冷たくなってしまい……というところから始まります。べたです。べたべたです。わ〜、読んでて恥ずかしいんだよぅ、という青春展開はこの作者らしくて良かったです。

 読み終えてみればいつもの『ひらり、』的な部分もしっかりありましたが、最初に感じた「萌え四コマ風?」の印象も盛り込まれてきていて『ひらり、』とは少し違った雰囲気のアンソロになっているように思います。

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青空文庫テキスト×秀丸アウトライン解析

これは何?

Photo

 青空文庫形式のテキストファイル編集時に[#「」は◯見出し]といった見出しタグをWindows用テキストエディタ・秀丸の「アウトライン解析の枠」にてツリー表示を行うための設定ファイルです。仮名《かな》[#「」〜]といったタグの強調表示も行います。

どうやってるの?

 アウトライン解析の部分は正規表現で

(?<=[#「)[^」]*(?=」は◯見出し])

を大中小三つ指定しているだけです。

 強調表示の部分も正規表現で

《.+?》
[#.+?]
|.+?》

の三つを指定してるのみです。

どう使うの?

Photo_2

 配布ファイルの「aozora.hilight」を秀丸の[その他]→[ファイルタイプ別の設定]→[アウトライン]→[解析]の[読み込み]から読み込ませます。

 青空文庫の収録テキストの作成や、青空文庫タグを利用した自作小説の製作などにどうぞ。AozoraEpub3との併用でシンプルな縦書きePub作成環境としても便利なのではないかと思います。

ダウンロード

  • 秀丸用青空文庫強調表示/アウトライン解析設定ファイル:aozora.hilight
2012.11.7 アウトライン解析を「窓見出し」「同行見出し」にも対応

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