小説創作とiPad テキストエディタ流浪編
テキストエディタがない
iPadで長文テキストを編集しようとして困るのがテキストエディタ。10万文字を超えると文字入力の遅延がひどくなって実用に耐えないものばかりです。
- dropboxが使える
- 日本語テキスト、ファイル名が扱える
という条件でいくつか評判の良さそうなエディタを試してみましたが、
200枚(8万文字)が読み込めないといったことはないものの、大きなテキストになると文字入力が重く、とても実用になりません。表示だけならばどれだけ長くてもさくさく・するするとスクロールするのに。
アウトライン
一方で私は構造化テキストが好きです。小説を書くときにはとても重宝します。一太郎やWordで「アウトライン」と呼ばれているものと近いです。見出しをつけ、見出しの一覧から該当部分に簡単にジャンプできるような仕組。専用のファイル形式を使用するアウトライン・ツールは色々ありますが
- wz形式テキスト
- markdown
といったマークアップ言語ではテキストファイルのままでもアウトライン的なことが可能です。
wz形式テキスト
wz形式テキストは行頭につけた“.”で見出しの階層を示すテキストです。wz editorで採用されていることからそう呼ばれているようです。SL-Zaurusでもwznoteといった対応ツールがあってとても便利でした。
markdown
HTMLを簡潔に使用するための記法です。Wikiの編集画面で使われたりします。<p>だの<br>だのといった目障りな記号の代わりにスペースや改行記号の使い方でHTMLの標準的な記法の代用とします。
項目名 | markdown記法 | HTMLタグ |
改行 | (行末に半角スペース二つ) | <br> |
段落 | (行末に改行二つ) | <p></p> |
見出し1(h1) | # 見出し1 | <h1>見出し1</h1> |
見出し2(h2) | ## 見出し2 | <h2>見出し2</h2> |
見出し3(h3) | ### 見出し3 | <h3>見出し3</h3> |
強調 | *強調* | <em>強調</em> |
強い強調 | **強い強調** | <strong>強い強調</strong> |
引用文 | > 引用文 | <blockquote>引用文<blockquote> |
箇条書き | * リスト1 * リスト2 * リスト3 |
<ul> <li>リスト1</li> <li>リスト2</li> <li>リスト3</li> </ul> |
順序リスト | 1. リスト1 1. リスト2 1. リスト3 |
<ol> <li>リスト1</li> <li>リスト2</li> <li>リスト3</li> </ol> |
リンク | [リンク](http://example.net/) | <a href=”http://example.net”>リンク</a> |
このmarkdown記法、1〜7の見出しレベルが使えるので一種の階層テキストになります。欧米圏のiPadアプリではこのmarkdown記法に対応しているエディタがあるようです。
青空文庫形式
青空文庫のタグも3レベルだけですがアウトライン……というよりは見出しを付けられます。目次抽出用ですね。
項目名 | 青空文庫タグ | HTMLタグ |
大見出し | ○○[#「○○」は大見出し] | <h1>◯◯</h1> |
中見出し | ○○[#「○○」は中見出し] | <h2>◯◯</h2> |
小見出し | ○○[#「○○」は小見出し] | <h3>◯◯</h3> |
ルビ | |仮名《かな》 | <ruby><rb>仮名</rb><rt>かな</rt></ruby> |
日本語のマークアップ言語であるだけにルビや傍点も指示可能なフォーマットですが、この形式をWYSIWYG編集できる環境はWin/Mac/iOS含めて見当たらないようです。
Win環境ではwz writeはルビに関してはWYSIWIG表示できている模様。
iOSでもルビのみ青空文庫形式に対応しているのが
ですが編集画面とビューワ画面が分離されているあたりは好みが分かれそうです。iText Pad/iテキストの両者は大きなサイズのテキスト編集でも重くなりません。素晴らしい。回り道をしていたら「長文編集に向いたテキストエディタがない」が解決されてしまいました。
ところがこのiText Padは青空文庫用のタグ[#〜]を使用したテキストの編集ができません。iText Padに読み込む段階で青空文庫タグが排除されてしまい、タグの情報が失われます。青空文庫タグを積極的に使いたい私には向きません。非常に素姓の良いテキストエディットエンジンを持つだけに惜しく感じられました。
Windows環境では秀丸を使用した青空文庫形式の階層の扱いやすい環境も用意したので、iPadでもせめて長文編集を苦手としないプレーンテキストのエディタだけでも、と思ったのですがそれは果たせないようです。
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