『レンアイ♥女子ファイル』森島明子
レンアイ♥女子ファイル
森島明子
一迅社百合姫コミックス
2012.11.18
★★★★☆
『百合姫』掲載作5本、描き下し2本の百合コミック短編集です。パートとしては三つ、高校生カプと大人カプを対比させた恋ハナシリーズ、『瑠璃色の夢』収録の「ハニー&マスタード」から世界の繋がるレンアイ女子課スピンオフのレンアイ女子探偵ファイルシリーズ、高校演劇部を舞台にした「ふたりのミルキーウェイ」。
描き下しは恋ハナシリーズが16ページ、ミルキーウェイの四コマが2ページ。カバー下にも四コマがあって『百合姫』購読派にも未見要素いっぱいです。
見所は、初々しいティーンの百合カップルと大人百合カップルを対比させて描くようになってきたことによる気のする大人組の「ちょっとおばか」感。大人の余裕の部分も実はちょっと可愛かったりするのだよ、とコミカルに見せてくれます。ミャーコ先生のウチとソトの落差は何回読んでも可愛くて可愛くて。ティーン組のキリキリと張り詰めた感じも大人組のおばか感があってこそ。
森島明子のお話は百合漫画読みとして濃い人から初心者まで、広く勧めて「面白い!」と言ってもらえる気がするのです。手塚治虫的なポピュラーさを大切にする姿勢みたいなものがあってこそできてくるお話たちのような。描写的にはベッドシーンなんかもありますが、読んで気まずい感じがしてくるタイプの性描写ではなく(大人同士であれば)友人に「面白いから読んでみなよ」と渡せる感じかな。ぱっと見の健全感・ポピュラー感の底にエロスが潜んでもいるのですが。
作者は現在『百合姫』では写真部モノの連作を掲載中。『楽園の条件』、『瑠璃色の夢』、『半熟女子』シリーズ、『レンアイ♥女子課』シリーズと読み返してみると少しずつ描くものの変わってきた森島明子。これからもどう変わっていくのか楽しみです。
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