『つぼみ vol.21』
さいごのつぼみがはじまるよ。
つぼみ vol.21扉絵より
★ ★ ★
つぼみ vol.21
芳文社
2012.12.12
★★★★☆
「あまくてやさしい、百合アンソロジー」つぼみ、vol.21にて休刊だそうです。少し前から書店向けの発売リストに最終巻らしき表記があるとか、Amazonの商品写真の帯で休刊を思わせる記述があったりしていたのですが本当に休刊になってしまいました。雑誌形式に移行するのかな?なんてのんきな予想を立てていただけにびっくり。
表紙 吉富昭仁
『つぼみ』vol.1の表紙も吉富昭仁でこの二人でした。帯もvol.1の「しっかりたっぷり306頁」であったのを踏まえたらしき「しっかりたっぷりしめくくり」。最終巻なんだな、という実感がひしひしと。
しまいずむ 吉富昭仁
凸凹ペア×2はヘンタイ度薄めのいい話に落着。もう一組はいつものヘンタイ全開でいつものままのノリで幕引きとなりました。このお話はまたいつどこで再開してもおかしくない感じがします。vol.1からvol.21まで皆勤でもあった「しまいずむ」は『つぼみ』の顔でもありました。
少女サテライト はみ
星座少女たちも今回は生命の循環を感じさせるお話で最終巻にしっくりくる雰囲気でありつつwebでも続くようです。
魚の見る夢 小川麻衣子
vol.11からの掲載で第7話。じわじわと緊迫してきた姉妹の関係。第1話では首輪ネタという強烈なお話でしたが、真綿で締めるような主役二人の包囲網が整ってきた感じです。でもまだもう少し時間をかけてじりじりと締まってきそうな気も。
ひみつのレシピ 森永みるく
夏合宿以来部長が若槻を意識するようになり急速に進展を見せ始めた気のするストーリー。今回は文化祭ネタ。若槻らしい華やかなところを見せてくれました。そして妙に神妙にスパートかけてはきたけど若槻だもんね、森永みるくだもんね。どんな展開で若槻らしいところを見せてくれるのか続きがとても楽しみ。
ベツキス 百合原明
あ、あれ? 輪ちゃんが危機に陥っていそうな、と続きがとても気になります。望永さんの回想があったりの32ページでボリュームたっぷりでした。
となりの rin
作者さん情報が欲しいなと思ったのですが検索で洗い出せませんでした。外向的な幼馴染との友情の再確認的なお話。もうちょっとアクというか印象に残る要素が欲しかったかな。
ふたり 大朋めがね
2話目だけど1話目とは登場人物の違う二人。タイトル的には「ふたり」のショーケースみたいな感じなのかな。む〜むむむ。『ひみつ。』、『Green. 』に続く単行本になるといいな。
十二月のスノウメルト コバノ
vol.18の「女王蜂のジレンマ」の作者さん。誘拐もの?という始まり方ですが今回もパワーある漫画でした。演出というか見せ方というか絵に力があってぐっと引き込まれます。webでも12/26に関連作が載るそうで楽しみ。
ベジタブルリラ ヨリコ
テンション高めで楽しい空気のあるお話。久しぶりの祖母の家は野菜収穫の季節で、幼馴染?と野菜と畑の虫と。作者さんが気になったけどやっぱりネットから見つけ出せないのでした。
前略、百合の園より 須河篤志
ぉぉ。ここに来て急展開というか主役二人の距離が一気に縮んだ観が。今回のお話は公式サイトのwebコミックが前振りになっているのでぜひそちらも。百合と漫画を作ってる相方との関係やらなんやらまだまだたくさんドラマが用意されていそうです。
星の音 戸間
トランペット吹きの少女と小人妖精?の話。周囲のプレッシャーがちょっと辛くなってしまったトランペット吹きが遭遇した星空の下の妖精。初見の作者さんですが好印象。
エデンの東戸塚 袴田めら
今回は温泉旅行と部活話の二本立て。温泉話、前回から引っぱったオチはめら節コメディ。まだまだずーっと続きそうな感じだけどweb移行の予告がなくてちょっと心配。
神さまばかり恋をする 一花はな
コトリの心情に変化が起きているここ数話。単行本を読み返してみると後半からコトリが悩みはじめたのが良い感じに効いてきた印象です。単行本『神さまばかり恋をする1 』、神さまたちの制服イベント描き下ろしもありました。
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ひとまずは「おつかれさま」。
創刊から読んできてお気に入りの作品もできたし、新たに知ることのできた漫画家さんも幾人もいてアンソロジーとしての役割を十二分に果たしてくれたように思います。webコミックの掲載も良い方向に作用して新雑誌の創刊とかに繋がるといいな。
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