『ひらり、』vol.10
ひらり、 vol.10 2013 SPRING ISSUE
新書館
2013.3.30
百合アンソロジー『ひらり、』vol.10、352ページ。今回も読み応えありました。
表紙 紺野キタ
コミックスと同時発売の紺野キタの表紙。淡いトーンが春っぽく、耳打ちをする制服姿の女子が視線を引きます。背景のフワフワはなんだろう。白い合歓木かな? 帯も「その秘密は蜜の味。」だったりして秘めやかなエロスがテーマなのかもと思ったり。
扉絵 くみちょう
『コミックブレイド』でバスケ漫画を描いてる方で『ひらり、』別冊の『ほうかご!』にも熱いマネージャー話がありました。
大人の階段の下 雨隠ギド
やばい。これは。可愛い。
萌えとかそーゆー方向の可愛いじゃなくて、意外な方向に持っていかれてきゅんとくるというか。意外といっても奇想天外なわけでもなく、主人公と一緒の方向を見てたら主人公共々ガツンと食らってしまったというか。『ひらり、』にすごくぴったりな話。
真っ赤なブーゲンビリア 袴田めら
袴田めらのお話は読む側とは独特のディスコミュニケーション感があって、でも、それがけっして悪い方向には作用してなくて、めららしさみたいなものができていて。
いちごドロップと加瀬さん。 高嶋ひろみ
加瀬さんは中学生男子脳というか、ダメな人というか、何かこうフェチ属性色々備えていらっしゃる……。山田さんは突拍子もないことあるけどすごくマジメだな〜と思わせられる組み合わせ。今回は修学旅行往路編。次回は沖縄編かな?
ほんとのかのじょ 今村陽子
ゆりまんがのはずなのにえすえむにゅうもんまんがになっているのはなぜ。しかもボンテージとか鞭とか蝋燭とかわかりやすい形ではなくて「心のSM」が見事に読者に植え付けられていきます。今回は二本立てで前後編構成。後編はもしかしてもしかすると“おあずけ”の刷り込みになっていたりもしませんか。作者の単行本も『乙女×乱舞』と『sunny』の二つ読んでみたところ『乙女×乱舞』にも主従キャラが活躍していてとても納得してしまったのでした。『ヒーローの秘密』も読みたいのだけど売ってるの見つからないな〜。
きよはの反響 橋本みつる
未来からのメッセージが告げる友人の死。抗えない運命の示される未来。独特のタッチと雰囲気で。七月には単行本も出るようです。
カラス、濡れ羽にひかりもの 四ツ原フリコ
四ツ原フリコ、絵柄が一段と可愛らしくなった気がします。今回は外見カラスっぽい子と性格カラスっぽい子のお話。
聖純少女パラダイム 森島明子
森島明子の絵柄の“濃い”感はどこから来るのだろう、と改めて不思議に思った今回。主役の二人の関係、ちょっぴりずつだけど進んでるかな?
under one roof/parlor 藤生
エッセイ漫画は淡々と続けていつか単行本になるといいな。
少女アソート 藤たまき
雨隠ギドと藤たまきは絵の“感じ”だけでも好きになってしまう。いかにも威丈高ではない恵まれた少女の少女故の傲慢。あーもーチョコレートが食べたいなー。
恋愛禁止憲法 平尾アウリ
平尾アウリの漫画の世界は何かおかしい。どこかおかしい。ボケ役だけでツッコミがいないためかもうどこまでもおかしな会話に。
Armet ユキムラ
騎士と姫君モノ。王道のおとぎ話的設定を強力な筆力で読ませてしまう。
悪魔女と引きこもり 佐藤沙緒理
佐藤沙緒理はvol.6でのバイオレンスな作風ともvol.8のシリアスからも印象を変えて悪魔召喚コメディ。
シャンデリア・ダイヤモンド・スターダスト 吉田丸悠
吉田丸悠のお話では「絶会」(平成絶対領域委員会)というアイドルグループがよく出てくるなーと思っていたのですが、ネット掲示板で
vol.4 きれいなあのこ JK組 真鈴 絶会解散時 クラスメイト谷本 vol.5 ソプラノ・ フォルテシモ JK組 レイカ 絶会結成前 (中学時代) 同級生五百森 vol.7 ロリータコンプレックス JK組 里緒 絶会結成前 (子役時代) 子役仲間ちさと vol.8 ミニスカートよさようなら JC組 麻由・ 美優 絶会活動時 メンバー同士 vol.10 シャンデリア・ ダイヤモンド・ スターダスト JC組 歩 絶会解散後 (大学時代) 同棲相手みつき 2ch レズ・百合萌え板 ピュア百合】ひらり、vol.1【新書館 >>702
とまとめられていたのを見て膝を打ちました。
これは、にせもの 未幡
一時の想いとほんとうの恋の違いってなんだろう、というお話。ラスト2ページがすごく良かった。
星をふたりで カザマアヤミ
金髪碧眼の転校生、クラスに馴染もうとしなかったけれど距離感の合う主人公とは打ち解けて……。『星の王子さま』をキーにしたお話。
しのびのいろは3 ささだあすか
忍者の守護のついた女子高生・さくらシリーズ第三話。第二話は短編集『きらきらのなつ』のみの掲載のはず。
箱庭コスモス 桑田乃梨子
こんなにふしぎを実践できているふし研はスゴイのではないだろうか回。
クロース・トゥ・ユー 犬丸
Witch meets Knightシリーズ。犬丸のこのお話は登場人物多め、人間関係複雑気味なのできっと単行本が出てからが真骨頂。今回はしっとり静かながらゆいっちドキワク編。
今号は昭和少女漫画のお約束的な「外国ではキスなんて挨拶」キャンペーン号でした。七月末には四ツ原フリコと橋本みつるの単行本予告もありました。ひらり、GLコミック大賞は「もう一歩!」までで入賞なし。
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