『つづきはまた明日』紺野キタ
つづきはまた明日
紺野キタ
幻冬社コミックス
2013.4.24
父子家庭の小学生兄妹の何気ない日常を描いたシリーズの完結巻です。
今回は亡くなったお母さんの回想がしっかり描かれるエピソードがいくつかあり目頭の熱くなる回でした。何気ない日常が描かれてきたこれまでがあってこそ、杳や清の母の喪失は読者の心に重く響きます。人の死を悲劇に留めず、平安な日常が宝石のように大切なものであることを実感させてくれるのです。遺された人には明日がある、と。ここにあるのは日常というファンタジー。小さな衝突はありますが、それさえも大切な日常の一部なのだなとしんみりと思わせつつ静かな閉幕を迎えます。そして読み終えたと同時に1巻からおさらいしたくなります。これまで読んできたデテールの積み重ねが読み手の中に作られていて、1巻時点がどんな状況なのかがよくわかり杳と清の日々に改めて目頭が熱くなります。こういう読み方のできる漫画って素敵だな。
この巻には「li'l flowers」というたぶん「ひみつの階段」シリーズと同じ祥華学園が舞台らしき女子校物の短編が二本収められています。『カナシカナシカ』や『Dark Seed』、『女の子の設計図』で作風の変化も感じられ「li'l flowers」でも時代に合わせた観もありつつも「ひみつの階段」シリーズの作風でした。幅を広げてきていた、ということだったようです。
新書館の『女の子の設計図』と幻冬舎の『つづきはまた明日4』の帯では互いに「紺野キタのコミックス、2ヶ月連続発売」と紹介しあっていて、こういう形のタイアップもするのだな〜と感心したり。あ、『つづきはまた明日3』のときも『カナシカナシカ』と連続刊行でタイアップしてたかも。
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