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『丕緒の鳥』小野不由美

丕緒ひしょの鳥
小野不由美
新潮文庫
2013.6.26

 帯に「12年ぶりのオリジナル短編集!」とある通り、久しぶりの十二国記の新刊です。出版社が変わり完全版と銘打たれた既刊がこの一年ほどで再刊されてきましたがいよいよ新作。昨年の7月には『残穢』という心霊ホラーの新作も出ていますし、十二国記の書き下ろし長編も準備中であるようです。ホワイトハート時代からのファンとしては嬉しい限り。

 新刊『丕緒の鳥』は「丕緒の鳥」「落照の獄」「青条の蘭」「風信」の四編からなる短編集で「丕緒の鳥」「落照の獄」の二編は『yom yom』という新潮の小説誌に掲載され話題にもなりました。以下、それぞれ個別の感想等。多少のネタバレも含むので本編読後の閲覧をお勧め。

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『意識は傍観者である』デイヴィッド・イーグルマン

意識は傍観者である 〜脳の知られざる営み〜
著:デイヴィッド・イーグルマン
訳:大田直子
ハヤカワ・ポピュラーサイエンス
2012.4.6

 面白かった!

 ストレートに内容を表したタイトルです。人の意識は無意識の(隠された)多数のタスクに支えられた物語生成装置の働きであり、人は人が思っているよりもずっと自動的に動く機械——ゾンビ的なものなんだよ、ということを実験心理学や脳科学の成果を元に説明します。

第1章 僕の頭のなかに誰かがいる、でもそれは僕じゃない
第2章 五感の証言
第3章 脳と心の隙間に注意
第4章 考えられる考えの種類
第5章 脳波ライバルからなるチーム
第6章 避難に値するかどうかを問うことが、なぜ的はずれなのか
第7章 君主制後の世界

デイヴィッド・イーグルマン,意識は傍観者である もくじより

 あまり内容の窺えないもくじではあります。読む前に期待していたのはMRIのような最新の脳スキャン技術による知見の紹介とそれに基づく自由意志の否定であったのですが、展開されるロジックの元となる知識のほとんどは実験心理学や脳の病気や怪我からわかったことで「最新脳科学の集大成」的なものではなく、比較的歴史ある知識を元にしています。もちろん遺伝子ベースの話なども出てきて最新の知識もフォローされてはいますが。そして、この本では自由意志については保留したまま、生体機械的に作動する自動装置としてのヒトの側面をじりじりと押し広げて見せます。魂や自由意志の存在を端からあるともせず、ないともせず、まだわからないものはわからない、とする科学的にフェアな姿勢で。
 そして押し広げた生体機械としてのヒト、という観点から言及されるのが第6章での犯罪と刑罰について。恐らくこの章を読んだ人は薄ら寒い気持になれるはず。ここで示される未来の刑罰や犯罪の予防は人の尊厳をも動かしてしまいかねない、と。必ずしも目新しい考えではなく、SFの世界では馴染みのユートピア?ディストピア?ではあるのですが、いよいよ現実の技術と社会がそこに踏み込もうとしているというリアリティがありました。

 わずかですが戸惑ったポイントも。
 Google Booksで原文と比較したのですが、原著にある回りくどい(ロマンチックな?)言い回しがこなれないままにされている文章が数カ所ありました。概ねわかりやすい内容、翻訳であるのでちょっともったいない感じです。
 翻訳とは関係なく、自由意志という言葉の定義も論理を突き詰める部分では厳格に「何ものにも影響を受けない完全に孤高な自由」が想定されていたりするようなので注意が必要です。

 専門書ではなく一般向けの解説書なので身構えずに読めます。錯視のように、人間の認識能力の危うさを見せてくれる実験心理学の結果を例に整理された論の展開で説得力十分に読ませてくれます。「自由意志」の存在について疑問を感じる人にぜひお勧めしたいです。自由意志の存在に揺らぎない確信を持たれている方にこそ読んで欲しい気もするのですが、そういう方にはたぶん受け容れ難い内容であるとも思います。

 1976年に書かれた『神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡』という本がこの『意識は傍観者である』の中で紹介されていて、読んでみているのですが奇説が唱えられてはいるものの大まかな意識観を継承しているようです。脳科学、遺伝子工学の飛躍的進歩の前に書かれた本で突飛な仮説も出されますがこちらもお勧め。600ページ超でかなりボリュームあります。

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『センチメンタルダスト』河合朗

センチメンタルダスト
河合朗
一迅社コミックス百合姫コミックス
2013.6.18


 Twitterで一万フォロワー越えというSNS時代の新人漫画家さんによる初・百合コミックス。百合姫コミック大賞での紫水晶アメジスト賞から受賞作の掲載もないまま始まった連載がデビュー作となった今回の「センチメンタルダスト」。

 11月号(9月発売)の掲載開始から9ヶ月で単行本になった『センチメンタルダスト』——略称「セメント」は夏を控えてとても涼しげな装いです。セルロイド風の透明/ブルーの帯が巻かれます。

セツナ、レンサ、トマラナイ。
欲しいのは、貴女。
透明な想い、零れるガールズ・ラブ・トライアングル。

河合朗,センチメンタルダスト帯より

 帯の文句と表紙カバーからするとこの透明なブルーの波立ちはきっと涙の海。表紙カバーはシンプルな塗りと画用紙的な紙質の組み合わせでカジュアルな印象。カバー下の表紙もカバーとは質感の違う非コート紙で「おや?」と。
 巻末には三人の後日譚が描き下ろしで16P+あとがきが2P。あとがきではデビューの経緯にも触れられています。

 『百合姫』での連載でも読んでいましたが改めてまとめて読むと主人公・あゆの泣き虫度の高さに気づかされます。叙情的なシーンを連ねてタイトル通り「センチメンタル」な雰囲気に溢れているウェットさでどっぷり。ひーちゃんとあゆの二人の関係をメインに、三角関係を構成する先生役がスパイスになってます。先生の性格ちょっとユルくないかとか、感情描写主体で時間経過がわからなくなかったりしつつも、デビュー作でこの濃さ!と応援したくなりました。

 作者は2013年6月現在『百合姫』に、Twitterで10万RTされたイラストを発端とする「ボウソウガールズテキモウソウレンアイテキステキプロジェクト(B.G.M.R.S.P)」を連載中。ドタバタな感じのギャグ百合です。

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『月と世界とエトワール1』高上優里子

月と世界とエトワール
高上優里子
一迅社コミックス百合姫コミックス
2013.6.18

 『百合姫』に連載されている純少女漫画調の百合コミック。作者は『なかよし』でいじめテーマの作品を中心に描かれてきた方。
 表紙カバーは印刷された実物を見るとAmazonの画像サンプルと少し印象が違います。サンプル画像はコントラスト強めですが、実物はトーンの階調がなだらかで暖色の彩度も高く見えます。蛍光ピンクと渋めの金色の特色インクが淡い水彩調のイラストによく映え、綺麗です。

 中高一貫で音楽教育の充実した月光学園を舞台に、歌姫エトワール騎士シュヴァリエ、エンゲージ、恋人たちル・クプルといったコテコテ・キラキラの少女漫画設定が踊ります。主人公・舞坂よぞらはそんな学校に高校から入学し、女王のように振る舞う現歌姫の海百合やその騎士・永遠とわ、気ままに振る舞う岸辺世界といったキャラたちと出会うことになります。王道のお嬢様学園設定。本来の少女漫画であれば永遠や世界の位置には男性キャラが置かれるはずですが、女子校が舞台ということもありヒロインの夜更けの窓辺に王子様よろしく現れるのも、衝突アクシデントの相手も女子。女王ポジションの海百合さえも女性性の塊のようなキャラでありつつヒロインに接近してきたり。
 指輪の謎や地下室の謎など伏線も散りばめられつつ、純正少女漫画感たっぷりに展開していきます。

 試し読みは「ニコニコ百合姫」の6月公開号(8月号)にop.1丸々一話分が掲載されているのでそちらを覗いてみても良いかも。美麗な表紙&カラーも大判コミックスならではの大きさで楽しめます。カバー下も(漫画があるわけではないですが)カバー袖も愛らしくデザインされていて力の入った装丁。ページ数も216ページと百合姫コミックスのトップクラスで読み応えもあります。描き下しは掌編が五つ+あとがき2ページ。巻頭にはカラーページが収録されていますが、雑誌掲載時と同様ノンコートのカラーページで水彩感がよく出ています。

 オススメ対象は「少女漫画の百合物語が読みたい」層かな。絵柄もストーリーもキラキラの王道少女漫画の世界は少女漫画寄りの作風の多い『百合姫』にあっても長編となると珍しいはず。明確に恋愛とは意識されないまま少女同士の濃い感情が歌姫エトワールにまつわる事件に合わせて深さを増して行きます。百合漫画を専門に読む読者よりも『なかよし』読者層が手に取ると共感を覚えるのでは、というのは百合オタの願望でしょうか。

 

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紅茶の本

 紅茶の本を二冊読んだのでその感想を。

金の芽 磯淵猛

金の芽
磯淵猛
集英社文庫
2002.3.2

 読んだのは角川書店版のハードカバーで1998年刊のもの。リンクは多少なりとも入手が容易そうな文庫版に貼ってあります。

 多くの紅茶本を書き、インドの最高品質紅茶を日本に積極的に紹介している磯淵猛の紅茶産地探訪旅行記です。90年代末のインド情勢が描かれるので急速な経済発展を遂げている現在とは多少違うはずですが、それでもやはり外国人には危険な土地であることに違いはないでしょう。当時は恐らくこの本に出てくる紅茶農園の名はごく一部の人しかしらなかったはずですが、ネット時代を迎え、著者の活躍の成果もあって恐らく紅茶好きの人であれば「トワイニング」のようなイギリスブランドの紅茶以外に、トップレベルの農園の送り出すブレンドされないストレートの茶葉があることを知る人も少なくないはず。その、現在では(熱心な紅茶好きには)知られるようになった農園二(三)カ所の探訪レポがこの本の内容になります。アッサムのモカルバリとダージリンのグームティ&ジュンパナ。
 インドの外国人旅行事情が中心となりますが、そこに紅茶の歴史や実際に目にした茶園の印象が織り込まれて非常に面白い――というと語弊がありますが、感慨深い読み物になっています。訪れるだけでも危険で、インド人であっても行くことを怖がるアッサム。無茶な交通事情。植民地政策の遺産。カースト制度。私たちにもなじみ深い紅茶の背負うものがずっしりと感じ取れるはず。紅茶マニアで未読の方にも勧めたいですが、ティーバッグの紅茶くらいしかしらないよ、という方にも是非お勧めしたいと思ったのでした。

世界の紅茶 磯淵猛

世界の紅茶 400年の歴史と未来
磯淵猛
朝日新書
2012.2.10

 『金の芽』は紀行文でしたがこちらは紅茶知識本。紅茶の歴史を紹介し、世界的に有名な産地へ訪れ製茶の様子を伝え、ミルクが先か紅茶が先か論争やおいしい淹れ方、その科学的解説をします。巻末近くには世界の有名紅茶——リプトンやトワイニングといったブランドではなく産地別——の味覚チャートなどもあります。最高級茶の先鋭的な(マニアックな)おいしさにはあまり触れませんが、紅茶に関する知識が基本からきっちり押さえられる網羅的な読み物です。特に「ジャンピング」の科学的な解説部分はこれまで胡散臭かった理由づけをしっかり検証していて好感が持てます。あとがきでは「アインシュタインの眼」という科学番組での紅茶特集回にも関わった旨が書かれていて初めて番組の存在を知りました。見逃したのが惜しまれます。
 写真がいっぱいのお洒落な本やブランド紹介の充実した紅茶本も多いですが、中身の濃い実直な本としては断然こちらをお勧めです。

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映画『言の葉の庭』

 少し前にアニメーション映画を見てきました。新海誠監督の『言の葉の庭』です。

 劇場はバルト9です。事前情報何もなしでバルト9で見たのですが、大正解。なぜかというとこのお話の舞台は新宿御苑がメインで、新宿バルト9は御苑から道路を挟んだ向かいにあるからです。加えて、映画を見た当日は雨。劇中でも雨のシーンの多い『言の葉の庭』にぴったりの環境で見ることができたのでした。あらかじめ知らずにいたことも含めて感慨深い映画となりました。

 『言の葉の庭』のストーリーはシンプルです。雨の日に学校をサボって新宿御苑の休憩ベンチで過ごす高校生の男の子と謎の女性との出会いをしっとりと描いた話です。それ以上の知識は無用。新海誠のこれまでの作品のように「えっ」と思う(ちょっぴり違和感のある)SF設定もない落ち着いたドラマが展開します。あ、公式サイトでやっている予告編ムービーは見てはいけません。知らなくてよい、とくに内容の期待を膨らませるようなものではなく、ネタバレだけをするたちの悪い予告です。落ち着いたラブストーリーであることだけ知ってそこに期待して見に行くのが吉です。

 お勧めしたい理由がいくつもあるのでそこだけ。
 まず、この映画、見所の一番は映像にあります。駅などで見かけるポスターの彩度の高い独特な緑色、あの美しさがそのままアニメーションとして動きます。まず間違いなく、この紹介を読んでイメージしたものよりも美しいものが劇場で見られるはず。Blu-ray? 大画面テレビ? ホームシアター? それも良いですが、大きなスクリーンと美しい光景に息をのむ観客たちの作る空気は劇場でしか感じられないもの。それを実感するために劇場上映をお勧めしたいです。
 細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』もアニメーションの新しい時代を感じさせる素敵な映像でしたが『言の葉の庭』にも写実寄りのセンスで『おおかみこども』と比べても進化した、実写では撮ることのできない理想の——まるでスチル写真の奇跡の一枚かのような光景が動きます。
 そうスチル写真的なのです。ただスチルが動いて動画になっているのではなく、動くことでスチル写真の空気が生まれます。静と動の逆転があります。
 スチル写真的な側面との符合は舞台となった新宿御苑とも重なります。御苑は写真好きが集まる都会の撮影スポットとして有名な場所です。
 そしてこの作品では「おっ!?」と思う3DCG的なシーンもあります。“的”ではない明確に3DCGが使われたシーンも。
 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズにもジブリのアニメにもなかった映像としての新しさが、けして奇抜ではない実写的なセンスの生むものではありますが、アニメーションにはこれまでなかなか描くことのできなかった何かが感じ取れるはず。

 バルト9で見られる方は早めの上映回を、できれば雨の日を選んで、上映後には新宿御苑を散策されてみられることもお勧めです。御苑の入場は16:00までです。

 同時上映であった「だれかのまなざし」がYoutubeで公開されていました。

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『2100年の科学ライフ』ミチオ・カク

2100年の科学ライフ
ミチオ・カク
NHK出版
2012.9.25

 確か、日経サイエンスの書評欄で見かけた本であったと思います。面白そう、とAmazonを覗いてみたら★五つのレビューがいくつも。評価も高そうだ、ということで期待して読みました。

 ハズレでした。

 タイトル通り、未来予測本です。2030年、2070年、2100年と区切り、科学と技術の未来図を描きます。著者は物理学者。ディスカバリーチャンネルなどで科学ドキュメンタリ番組の解説にも登場する有名な方。

 悪い意味でメディア擦れしている本でした。
 最新の科学技術の紹介をし、それを元に未来にはこれが一般化しているだろう、と示す本。コンピュータ、生物学、医学、物理学、宇宙。とりあげられるすべてのジャンルで豊富な雑学知識とともに。
 もちろんそれがつまらないわけではないです。紹介されている最新科学技術動向はどれもとても興味深いもの。現代の科学技術の先端付近を一望にする本と捉えればこの本はかなり優れています。

 元素という考え方についてはギリシアの過去から粒子と波が対立してきました。近代になって原子モデルが登場し粒子の側にいったん潮流が寄りますが量子力学では波動関数を取り込む事で波としての側面を取り込み、超弦理論ではすべてを再度波に帰そうとしています。生物学では前成説と後成説が対立し、前成説はホムンクルスからDNAへ移り変わり強力なダーウィニズムとなり、メカニズムの実証されないラマルキズム=後成説は片隅に追いやられたものの21世紀に入ってエピジェネティクスという形でダーウィニズムを補完し遺伝がDNAのみで完結しない事を示し始めました。対立する思想の揺れと、互いに対立思想を取り込んで融合させてきた流れというのが科学史ではあちこちに見られるのです。
 そんな思想の変遷はこの本では顧みられるません。未来の科学技術が科学史においてどんな位置づけとなるのか、という視点が皆無なのです。
 もちろん、だからこの本の予想は当たらない、とは言いません。が、歴史における位置づけなしになされる予想はサイコロを転がしているのと大差がないように思います。目新しいものをただ並べるだけの未来図は、科学雑誌の記事を一年分ほどシャッフルすればできあがります。

 何も予想していないに等しいと思ったのでした。

 根拠のない未来図を見せられても面白くないのです。だって、科学解説書やSFが好きなら、出てくる技術は知っているものばかりですから。なぜ有望な技術なのか、という点が完全に欠落していて、理由づけに予想の面白さを期待した身にはがっかりさせられます。

 また、この本に集められた知識も表面的で、地球温暖化説に関してはマスメディアの受け売りのみであったりします。物理学者である著者が科学の視点での検証をした気配がありません。470ページにもなる科学解説本であるのに対象読者が科学にまったく関心のない人であるように思えます。科学解説書好きが読んで目新しく感じられるであろうものは数える程度の学者面白エピソードだけ……。

 良い点もあります。「8 人類の未来」という章では対数的な尺度での文明のランクづけを行う非常に広い考え方が紹介されます。ニコライ・カルダシェフが提案しカール・セーガンが広めた宇宙文明に関するアイデアでSFファンにはお馴染みかもしません。Wikipediaにも散文的ながら記事があります。でもせっかく指数関数的な尺度で世界を見ることが示されるのに、この章だけが孤立して他の具体的予測と何の結びつきもないのです。なんてもったいない……。

 知識の羅列のみの内容は多少なりとも科学の知識を持つ人にとっては「投げ本」と感じられるでしょう。回避推奨の一冊でした。

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『僕らはみんな河合荘4』宮原るり

僕らはみんな河合荘4
宮原るり
少年画報社ヤングキングコミックス
2013.5.30

 『恋愛ラボ』のアニメ化で注目されてきている作者の“ひとつ屋根の下ラブコメ”最新刊。「僕らはみんな河合荘」はメゾン一刻的なシチュでのコメディ色の強いお話。軽妙でありながら濃い人間関係の描写と嫌味のない下ネタが特徴です。ぶっちゃけた感じの気取らないキャラで下ネタが大量投入されるけどおおらかな感じで躊躇なく知人・友人に勧められます。

 四巻では大きなイベントは文化祭くらいなのですが、元々日常的な出来事を面白おかしく読ませてくれる作風なので文化祭も大きな節目と言うわけではなく季節行事のひとつくらいの印象。律っちゃんがゲーム弱かったり、麻弓さんの若かりし姿が公開されたり、シロさんがイイトコ持ってったり、単発登場のキャラ二人が三人とも「いいなぁ」というとこを見せてくれたり。河合荘は通常運転。でもそれが最高!なのです。シロさんはつくづく社会適応型の良き変態だなーと感心してしまったり。

 単行本ならではの要素では毎巻楽しませてくれる「シロさんと俺」を含めた幕間の寸劇も今回も楽しく、表紙カバー下、カバー袖とお楽しみ要素満載でした。『みそララ』も『となりのネネコさん』もそうだけれど宮原るりの漫画には人間関係の面白さがぎゅう詰めになっていて「あ〜面白かった」があります。おすすめ。

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