『センチメンタルダスト』河合朗
センチメンタルダスト
河合朗
一迅社コミックス百合姫コミックス
2013.6.18
Twitterで一万フォロワー越えというSNS時代の新人漫画家さんによる初・百合コミックス。百合姫コミック大賞での紫水晶賞から受賞作の掲載もないまま始まった連載がデビュー作となった今回の「センチメンタルダスト」。
11月号(9月発売)の掲載開始から9ヶ月で単行本になった『センチメンタルダスト』——略称「セメント」は夏を控えてとても涼しげな装いです。セルロイド風の透明/ブルーの帯が巻かれます。
セツナ、レンサ、トマラナイ。
欲しいのは、貴女。
透明な想い、零れるガールズ・ラブ・トライアングル。河合朗,センチメンタルダスト帯より
帯の文句と表紙カバーからするとこの透明なブルーの波立ちはきっと涙の海。表紙カバーはシンプルな塗りと画用紙的な紙質の組み合わせでカジュアルな印象。カバー下の表紙もカバーとは質感の違う非コート紙で「おや?」と。
巻末には三人の後日譚が描き下ろしで16P+あとがきが2P。あとがきではデビューの経緯にも触れられています。
『百合姫』での連載でも読んでいましたが改めてまとめて読むと主人公・あゆの泣き虫度の高さに気づかされます。叙情的なシーンを連ねてタイトル通り「センチメンタル」な雰囲気に溢れているウェットさでどっぷり。ひーちゃんとあゆの二人の関係をメインに、三角関係を構成する先生役がスパイスになってます。先生の性格ちょっとユルくないかとか、感情描写主体で時間経過がわからなくなかったりしつつも、デビュー作でこの濃さ!と応援したくなりました。
作者は2013年6月現在『百合姫』に、Twitterで10万RTされたイラストを発端とする「ボウソウガールズテキモウソウレンアイテキステキプロジェクト(B.G.M.R.S.P)」を連載中。ドタバタな感じのギャグ百合です。
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