『citrus』サブロウタ
citrus 1
サブロウタ
一迅社コミックス百合姫コミックス
2013.7.18
実本はインパクトがあります。
見ないで。
サブロウタ,citrus 1 帯より
この一言が大きく刷り込まれた帯が巻かれます。見る人をまっすぐ捉える茶髪っ子の視線。片肌が脱げているあたりから下が帯に隠され見えなくなっていて、羞恥をこらえているかのような表情が帯の文言との相乗効果で想像を刺激します。全体にシックなチョコレート色で抑えた色気が滲み出るような。
帯の小さめの文字にある「純情ギャル×黒髪ビッチ」の純情ギャルが表紙イラストの右側の子。
主人公は外見&言動はギャル・中身純情の柚子。母親の再婚を機に転校した先がガチガチのお嬢様校。服装チェックで遭遇した生徒会長は黒髪ロングのシャープでクールな美少女で良い香りがして——。と紹介するといかにも百合漫画風ですが、違うのです。作者は『調教カレシ』といった作品を描いているバリバリのTL作家さん。掲載誌『百合姫』ではこれまであまり載らなかったタイプの作風で強烈な新風となっています。
展開がとにかくTLっぽい。別フレっぽい。男性キャラも登場しいかにも「優しげで不実そうなイケメン」が百合漫画にあるまじく黒髪ヒロイン・芽衣とのちゅーを展開したりして百合漫画的にはタブーっぽくもあるのですが嫌味はないので大丈夫。突発的にちゅーしたり押し倒したり押し倒されたり義理の姉妹になったりと息を吐かせない展開でぐいぐい引っぱっていきます。芽衣はドSっぽいクールビューティなのに何かを諦めているかのように大人たちに流されていく受け身キャラでもあるのですが、主人公の柚子にだけ攻めに転じてみせるのもたまりません。
内容紹介は散漫になりましたが予備知識なしでジェットコースターっぷりを期待すれば間違いないはず。所々のキメ台詞や小ネタに思わずツッコミを入れつつ文句なしに楽しく読めました。転校先で柚子の友人となる隠れギャル・はるみんとのやりとりも楽しい。
巻末には掌編・小ネタの複合描き下ろしが8ページ。あとがきのイラストも「さすが芽衣さん」な感じの素敵なのが入ってます。
収録は『百合姫』2013年7月号分まで。2013年9月号から買えば単行本1巻の続きが読めます。掲載誌は隔月刊行ですが一回のページ数も多いので進展も速いです。
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