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『残光ノイズ』コダマナオコ

残光ノイズ
コダマナオコ
一迅社コミックス百合姫コミックス
2013.7.18

 表紙がカッコイイ。
 コダマナオコはすっきりと整理された線が印象的なタッチの漫画家さんで、『残光ノイズ』はシャープ感を生かす幾何学模様的な背景が合わされて非常にキレのある表紙カバーデザインに仕上がっていました。今年購入の本・漫画の現時点ベストデザイン。カバーを外して広げて眺めてもやっぱりカッコよく、目次もまたカッコよかったり。帯もネガポジ反転でカバーデザインをビシッと締めてます。表紙の二人とカラー扉絵のキャラは描き下ろしの表題作「残光ノイズ」から。

 収録内容は

残光ノイズ描き下ろし
邂逅エフェクトコミック百合姫2013年7月号
ガールズトークつぼみ Vol.4
恋愛のできないお仕事つぼみ Vol.19
サマー♥スプラッシュGirls Love -strawberry milk shake-
ヘビロテ★ランジェリーGirls Love

と『百合姫』関連以外にも芳文社の『つぼみ』からも採録。コダマナオコは『つぼみ』からは『レンアイマンガ』という編集者×漫画家ペアの百合ストーリーも出ていて楽しく読みました。今は入手困難かも。

 「残光ノイズ」は秘密の隠れ家を持つ主人公と闖入者のお話。同じ学校の同じ学年であってもタイプの違う二人には接点などなかったはずだけれど、と女子グループの連帯の煩わしさや異なるスクールカーストのギャップにも軽く触れつつ、出会いと出会いからの一歩を描きます。
 「邂逅エフェクト」は百合姫掲載時も印象的でした。女子高病で済んだはずの関係が同窓会を機に思い出されて、という話でベッドシーンもあったりするのですが女性の体が美しく見えるポーズがばちーんと決まっていて素敵なのです。男性向けグラビアにありそうな感じのポーズなのに男性読者へ媚びたような嫌らしさがなく、かといって健全過ぎてエロスが欠けているわけでもないGJ感。コダマナオコの絵にはファッション誌や写真集で見かけるビシッと「きまった」感じがあってぐっと来るのです。
 「ガールズトーク」は努力でカワイイを獲得した主人公と天然モノ美少女とのお話。牽制をしかける主人公とやや協調性を欠いた天然美少女ふゆっぺ。この話はとにかくふゆっぺの美少女っぷりが文句なしに良いのです。『つぼみ』掲載時にこの話を読み、ふゆっぺでコダマナオコのファンになったのでした。
 「恋愛のできないお仕事」は色物アイドルユニットの話。ポップでコミカルな感じなので『百合姫』掲載作や『不自由セカイ』でコダマナオコを知った人には珍しい感じがするかも。
 「サマー♥スプラッシュ」「ヘビロテ★ランジェリー」は性描写のある百合アンソロジー『Girls Love』シリーズからでともにベッドシーンあります。ベッドシーンといっても成年指定がつくほどではなくレディコミやTL誌、青年誌くらいの感じでしょうか。構図の決まる素敵な裸体/下着描写があります。絡みは少しぎこちないかな。でもたぶん、成年漫画そのものが見たいわけではない気がするので程よいバランス。七月末発売のアンソロ『百合姫Wildrose Vol.7』にも掲載がありました。
 あとがきには各話の解説が2ページあります。

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