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『ひらり、』vol.11

ひらり、vol.11
新書館
2013.7.30

 手に取って重い、厚い、と思ったら416ページもありました。

砂浜と加瀬さん。 高嶋ひろみ

 修学旅行で沖縄に行った山田と加瀬さん。前回、往路の飛行機の中でもお熱いところを見せてくれましたが今回はお風呂があったりちょっと擦れ違いがあったりと一進一退でじりじりさせてくれました。びびるな山田〜と声援を送りたい。

聖純少女パラダイム 森島明子

 漫画らしい絵でありつつ、脇や腿周りのお肉感も素敵な森島明子。今回は32ページ。一番友達のリリと葵で一歩ずつ進みながらもやっぱり友情なんだけど、でも、と。まじめっ子とお洒落と。恋への淡い憧れと。

お姫様のうそ 森永みるく

 vol.9掲載の「お姫様の鏡」の続きです。ひょんなことから王子様っぽい同性の先輩と交際のマネをしてみる約束を取り付けたお姫様体質の主人公、というのが前回で今回はチグハグデート回なのでした。森永みるくはギャル寄りのお洒落っ子と地味っ子の組み合わせが主人公になることが多いですが、このシリーズはどっちも割とまじめそうな王子&姫キャラ。二回目でまだ二人の関係はぎこちないけれど、良い組み合わせの気がします。

ほんとのかのじょ 今村陽子

 ゆーかの「くず虫ラップ」聴きたい……とか思ってしまうくらいには染められてきつつあります。このシリーズ楽しい、すごく楽しい。SとMがどういう関係なのかとっても勉強になります。掲載ページ数的に単行本化はしばらく先だとは思うけれど今から楽しみ。ゆーか様はナチュラル・ボーン・ドSでもえとは出会うべくして出会ったのだなぁと改めて。

OUT OF THE BLUE! くみちょう

 『ほうかご!』でバスケ部漫画が印象深かった作者。今回はスケバンもの……とはちょっと違うかな。ケンカ番長っぽい女の子とマジメメガネな主人公のお話。マジメというよりは神経図太いかもしれない……。落ち着いた友情の話でありつつメリハリも利いていて最後のまとめかたもばっちり。今号のMVP。

男装レイヤーとその幼馴染 佐藤沙緒理

 作風の幅が広いです。毎回違う印象の話で、今回はブス設定のキャラがヒロインなのですが、ほんとに可愛くなく描かれていて、でもキラキラに可愛いキャラじゃないことがとっても生きてくる話なのでした。

終電にはかえします 雨隠ギド

 vol.6に掲載の「ひらがな線、あいう駅」の続編。プリン頭のヤンキー風少女・ツネとアナウンサー志望の普通に打算的な主人公・瀬戸先輩のデートエピソードから始まる32ページ。ツネの兄貴ズ面白しょーもなっ。瀬戸先輩の人として、女としての生々しさもそこはかとなく盛り込みつつ。単行本の発売も決まったようです。やったーっ。

そうして私たちは 芥文絵

 ちょっと不思議で謎めいたお話。ヒロイン伏子ふしこは何かに取り憑かれているのだろうか、あるいは異形の存在なのだろうか、と気になる設定。ほのかに、というよりは間接的にではあっても色濃く漂うエロスと執着。この作者、絵柄と投入されてくるイメージがすごく好みです。百合に限らなくても、ファンタジーを描いても面白そう。ひらり、GLコミック大賞で第5回準グランプリの方です。

きらり、 紺野キタ

 シーンひとつのショートムービーのような話。海辺のじゃれ合い。登場する人物も表現も“今”でありつつ幻想の成分もあり。『ひみつの階段』で描いた少しレトロな女子校の世界とは違う、紺野キタ世界の模索が行われている気がします。

光の庭 袴田めら

 vol.8掲載の「花と稲妻」、vol.10に掲載された「真っ赤なブーゲンビリア」の続編となる椿と菊花のお話。

under one roof/parlor 藤生

 parlorに出てきたお店、ちょっと見てみたい……。

Restart 藤こよみ

 漫画家もの。で、このオチか〜いっ!と思わずツッコミ。『ほうかご!』の馬術部ものもちょっと思い出して「においフェチ?」と思ったり。

あさってにはハワイ。 ユキムラ

 水着選びで小エピソード。最後、へんな方向のオチがついてるとこも良かった。

あのこのしてくれなかったこと 平尾アウリ

 初読でちょっと戸惑って、読み直して、「ああ!」って。短編だからこその読ませ方でしょうか。三人組が二人になって、というお話。

三日月 藤たまき

 vol.10の「少女アソート」の二つめ。前回はチョコでしたが今回はパン。わがままなお姫様は食いしん坊でもあるようです。

放課後のまほうつかい 大沢あまね

 未来を垣間見る力を授かった主人公・めいは学校で占い研究会を作って活動しているのでした。千明という子と知り合いになったのだけれど予知の力は壁にもなり、というお話。大沢あまねの作風は好感度高いです。

ともだちのつくりかた 雁須磨子

 雁須磨子は毎回アプローチが独特で「百合漫画」のイメージに寄せてこないあたりが『ひらり、』を読んでいて良かったなと思うところなのです。典型的な百合に当てはまらないけれど「そう。こういうのも!」と言いたくなる感じ。

銀河に広がる世界をふたりで カザマアヤミ

 宮沢賢治好き同士の文学バトル。カザマアヤミの『ひらり、』掲載作では今回の話が一番好きだ〜。

ピンク×ラッシュ TONO

 今回、珍しくサナに彼女ができました。でも、TONOのお話だもんね。一筋縄ではいかないのでした。あと、サナのステージがあんまり過ぎて笑えてしまいました。

箱庭コスモス 桑田乃梨子

 ふし研の何気ない一日。本当に何気ないどうということのない話なのだけど楽しいのはなんでだ。

サワーグレープス 犬丸

 witch meets knightシリーズ・かなたの番外篇的な8ページ。

恋する★ぽっちゃり きよたとも

 第7回ひらり、GL大賞期待賞受賞作品。こんだけよく描けてて期待賞か〜。百合姫コミック大賞もだけど新人賞は採点厳しいとこが多い印象。タイトル通り太めの子が開眼するお話です。

★ ★ ★

 今号も『ひらり、』は『ひらり、』らしくて良かった……。vol.11と同時に四ツ原フリコの『ライカ、パブロフ、ポチハチ公』と橋本みつるの『さらば友よ』も出てます。どっちも描き下ろしありました。画力が大幅にグレードアップした四ツ原フリコは『ひらり、』以前の作品の描き直し収録も。

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