紅葉@豪徳寺
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一般参加で見てきました。
開催地の東京流通センターは世田谷あたりからだと一度新宿に出て山手線を半周しモノレールに乗り、と面倒臭い場所にあるのですが、ふと路線バスはどうだろうと調べてみると……ありました。(京王線)新代田駅←→(JR)大森駅という環七に沿って走る東急バスの路線が。大森駅から東京流通センターまでは再度バスでも良いですし、歩いても二十分程度の様子。実際、カメラを片手に大森の町を撮り歩けば遠いというほどでもありません。近くもないけど。
というわけで楽しんできました。お目当ては前回縁のあったソウブンドウの『仮想空間で遭いましょう』と『ヒカルセカイ』で興味を持った雨降波近『夜道の星』。創元SF短編賞関連の方で出展している方もいらっしゃるようなのでその様子も偵察してみるつもりでした。が、会場をぐるぐる回るうちに手元に揃ったのは……。
同人誌即売会の歩き方がよくわからないままふらふらと買ってみた感じ。
下は戦利品を楽しむの図。招き猫に向かわせているのはソウブンドウブースでゲットした七木香枝(花霞堂)さんの素敵な豆本。中身は原稿用紙なので豆ノートでしょうか。招き猫も豆サイズの身長2cm。
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三軒茶屋。
東急世田谷線の始発駅のある小さな街。けれど展望室のある高層駅ビルがあり、R246と世田谷通りの接点にあり、渋谷にほど近く学校がいくつか集まっているということもあってそれなりに賑わいがあります。
でも、ちょっと意外な一面もあるのです。
ここは三軒茶屋シネマ。すぐ近くに三軒茶屋中央劇場という映画館もあります。ありました。2013年の2月に営業を終了してしまいましたが。私の記憶では中央劇場か三軒茶屋シネマのどちらかはかつてロマンポルノを上映していました。今は名画座、かな。
三軒茶屋シネマの上階はバッティングセンターになっていてものすごくおんぼろの外階段から入ります。もうこのあたりで漂いはじめる場末感。清潔感溢れる駅ビル・キャロットタワーとは世田谷通りを隔てているだけですが、雰囲気のギャップに驚きます。
界隈を歩くと一癖ありげですがおいしそうなお店もいっぱい。
お風呂屋さんだってあるのです。一見、空き地でも封鎖しているかのようなトタン塀ですが……。
狭い入口の中を覗くと銭湯の入口が。場末、というよりはかつての学生街、下町の雰囲気なのかもしれません。
車の入り込めない路地裏です。
場末感が漂うのはR246と世田谷通りに挟まれたごくごく狭い地域。写真好き的には魅力的な街です。
小さなスナックや小料理屋がぎゅう詰めになっている路地もあるのですがそういった場所は夜の方が魅力的。いずれ写真を撮ってきて紹介したいと思います。
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新宿西口から少し歩いたところにある東京都庁舎では展望室を一般公開しています。新宿に寄ったついでに登って来ました。
単に高いところからの景色は肉眼だと「わ〜」という感じがあるのですが写真だとありきたりな感じになってしまいますね。変化を付けようと“ミニチュア”エフェクトで撮ってみたものが上。
台風一過で夕焼けが見られるかもしれないと思ったのですが、あまり焼けない日没でした。
都庁北展望室はカメラを持った人でいっぱいで、日没のタイミングではシャッター音で賑やかでした。外国人観光客らしき方も多かったです。
夜景も撮ってきました。ビル展望台ではどこもそうですが、窓ガラスに室内照明が映り込んでしまってなかなかうまく撮れません。一応、ラバーのレンズフードを用意したのですが
と、効果は限定的でした。ネット上では映り込み対策にラバーフードを勧める文言を多く見かけますが実地に試して勧めている方は少ないのではないかと思った次第。
この日はレンズを通す穴の開いた黒いサークルレフのようなものを使っていたスマートな一眼レフユーザを見かけ、市販グッズだろうか、映り込みが防げそうだ、と羨ましく思ったのでした。帰ってネットを探してみたところ、『忍者レフミニ』なる商品と似ていたように思えました。試してみたいけれど微妙に手を出しにくい値段ですね……。
展望室からの夜景は比較的明るいのでISO6400あたりが実用になるカメラなら手持ちで問題ないシャッター速度で撮影できます。
距離があって小さくではありましたが、東京タワーや東京スカイツリーもよく見えました。天気がよければ富士山も見えるらしいのです。あいにく富士山のあたりだけ雲に包まれていました。
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Cut 2013年9月号
Rockin' On
2013.8.19
先週、宮崎駿監督の『風立ちぬ』を見てきました。素直に「面白かった!」と言える映画ではなかったですが「良かったかもしれない」とじわじわと考えさせられる映画でした。そして恒例、ロッキン・オン別冊の『Cut』で渋谷陽一が宮崎駿に三万字インタビューをしていると知り、買ってきました。読んで思ったのが、
「そんなに作り手側の意図と外れた見方をしてなかった」
でした。ほっとしました。
記事の内容は、掲載誌を実際に読んでいただくのが良いでしょう。印象に残ったエピソードをいくつか紹介するに留めます。
劇場で本編が始まる前に予告編が流れました。『ガッチャマン』や『かぐや姫の物語』もあったでしょうか。『永遠のゼロ』の予告も流れていました。
今、零戦の映画企画があるらしいですけど、それは嘘八百を書いた架空戦記をもとにして、零戦の物語を作ろうとしてるんです。神話の捏造をまだ続けようとしている。
Cut 2013年9月号 「風立ちぬ」三万字インタビューより
これのことかなぁ……。零戦神話的なものを嫌っているらしいことがインタビューの中で強調されていましたが、予告を眺めた限りでは的中していそうです。
堀辰雄の『風立ちぬ』についても触れていて「よくわからない」から始まり「掴めそうで掴めない」というあたりはなるほど、と大いに思ったのでした。同時に宮崎駿の『風立ちぬ』もまた掴みきれない映画でした。そういう部分まで含めての映画化だったのだなと改めて。納得行かなく感じた部分もまた堀辰雄的であった気がしてきました。
『Cut』の渋谷陽一によるインタビューシリーズは理解者っぽいスタンスが少し鼻につくのですが、でも、毎回楽しく読んでしまうし、宮崎駿から面白い話を引っぱり出せているあたり優れた記事なのかもしれません。『風立ちぬ』を観て何か語りたい!語ったよ!という人はこの記事で答え合わせをしてみると楽しいかも。高橋源一郎の『風立ちぬ』評はありきたりの視聴者の感想になっていたように思いました。
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遅まきながら8/16に見てきました。
『風立ちぬ』
ネットで「物作りをする人間にはたまらない」「飛行機好きにはたまらない」といった感想を見ていたので、きっと宮崎駿自身の創作への思い入れや飛行機愛で埋め尽くされた映画なのだろうと思い描き、見に行きました。
ネタバレありの感想となります。否定的な面も列挙してしまうので映画未見の方は読ない方が良いはず。
★ ★ ★
新宿バルト9で見た。
上映時間が長く感じた。正直、途中で集中が途切れかけた。近くの席に座っていた中学生くらいの男の子たちは明らかに退屈していた気配。映像も、シーンのひとつひとつも、飛行機も、ヒロイン・菜穂子さんも文句なしに素敵なのに、ストーリーがやや散漫に思えた。題材となったであろう堀辰雄『風立ちぬ』を読んだときの感じに近かったろうか。これまでの宮崎アニメではなかった。『ハウル』にはちょっとだけ近いかもしれない。けれど『ハウル』にあった幻想の華々しさはなかった。どういう面白さ・感動のある映画にしたかったのかがわからなかった。
飛行機づくり、ものづくりの魅力と恐さ。二郎と菜穂子のラブストーリー。この二本の柱で作られていることは間違いない。ストーリーははっきりと恋愛物で、宮崎駿としては珍しく真っ向力技のラブストーリー。ことに終盤の二郎と菜穂子はこれでもかと涙を誘いにきた。
登場させる飛行機の選択も「ああ、宮崎駿だ……」と思える(飛行機オタクとしては)ポピュラーでありつつ魅せ方にマニアさも香り、見終えてから調べものをしてみると「おお。おお。おおおお」というオマケも当然のようにある。
なのに工学者としての二郎のセンスを魅せる場面がよくわからない。『紅の豚』同様、ベテランに唸らせることで新米のセンスをわからせようという方法が今回の『風立ちぬ』でもあるが、技術者にフォーカスした割にベテランが何に感嘆したのかを伝える気がなく思わせぶり止まりで工学部出身者的に「ちょっ、どこに共感すればいいんだよぉ」となってしまう。吉村昭や柳田邦雄の技術ドキュメンタリや谷甲州の技術SFから立ち昇る工学モノの肌触りが、ない。もちろん、工学という意味でもマニアックなはず。応力計算、フランジ、計算尺、サバの肋骨の曲線、弁丸出しで力強く歪むエンジン、震えしなる翼、固定ピッチペラから可変ピッチペラへ。なのに私が工学部で夢中になって触れてきた技術の面白さの一番おいしい何かが、どこかに隠れてしまっていた。飛行機好きが外側から見た飛行機の面白さはあっても機械工学の感触がない……。
ここにきて何を遠慮してる、宮崎駿。雑草ノートには確かにあった気配が消えているぞ。
恋愛物としては、シーンひとつずつは力強いし全体で見て宮崎アニメ最強の恋愛物であることは確かだけれど、飛行機パートと恋愛パートがちぐはぐだ。菜穂子のサナトリウム描写も当時の珍奇な治療法ばかりが印象に残った。紙飛行機で通じさせる想いも技師らしい精巧な作りのペーパークラフトと落っこちそうなハラハラドキドキが印象に焼き付けられて「菜穂子さんはこれで楽しいの?」となってしまう。余命を悟って激務の中わずかでも共にいる時間を選んだ二人であるのに、肺病の妻の隣で「タバコが吸いたい」と言い出してしまう二郎。菜穂子の側から「タバコを吸うあなたが見たい」「あなたの吐いた煙が愛しい」といった前振りをしていれば説得力ある名シーンだったのにそれをしないために二郎の行動に共感を持ちづらく喫煙者の身勝手さが表面に出たように見えてしまった。菜穂子が「うつるわ」と形ばかりにしても触れ合いを留めたこととの対称が崩れてしまっていた。二郎と菜穂子が死に直面した恋愛を展開していることは頭を使えば理解できるけれど、問答無用で肌でわからせる宮崎アニメであって欲しかった。
設計者としての正味の「十年」。妻との時間も十分に取れず、戦場に命を散らさせる機械に集中した「十年」は少年の日の志の残り火でしかないように思えた。風が立ったのは幼少の頃の二郎であって、以降の二郎はただ駆け続けていただけに見える。あまりにストーリーにノレない。ストーリーが見えない。要所要所の演出の強烈さがあだになってしまっていた。こんな宮崎アニメ、初めてだ。
けっしてつまらなくはなかった。むしろ良かった。Blu-ray出たら買う。かつての日本映画が持っていたすっきりさっぱりしない矛盾と解決しない葛藤の魅力が現代のアニメの中に立ち上がってきている。堀越二郎や飛行機を盛り込んだのはあくまでも監督の趣味で、堀辰雄の『風立ちぬ』の映画化だったのだろうと思う。飛行機に魅せられ国の滅びと道行きを共にし、妻を孤独のうちに死なせ、死後の妻が夢の草原で自分を待っていた幻想を見る二郎の身勝手さは宮崎駿自身の自画像でもあるかもしれない。
この先、そう何本も作品を作る時間が残されていないであろう——少なくとも監督自身で絵コンテを切り丸抱えで作れる作品のタイムリミットは目前だろう宮崎駿の、代表作は更新されなかった。宮崎駿ファンとしては、彼が好きなもの作れて良かった、と喜ぶべきかもしれない。失われた戦前の生活、ピラミッドを構成する社会、戦争、テクノロジー、ただ駆け続けること、とメッセージはてんこ盛りだ。こうして長文の感想を、観た人々が綴るのであれば大成功なのかもしれない。
不満の感想が多くなってしまったけれど鳥肌のたったシーンだってあった。たくさん。しかも鳥肌度がすごかった。例えば七試艦戦のエンジン始動シーン。手動式のイナーシャを回して始動前のうなりが上がるのだけれど、それが“呪い”“化物の目覚め”のようでゾクゾク来た。効果音を人声で吹き込むシーンを多用したそうで、それがもっとも効果的だったのがココと津波のような関東大震災のシーンだったと思う。夢の中で翼上を歩くシーン、靴底が機体外板を歪ませていたのだって足の裏に感触が生まれそうな錯覚を覚えた。数え上げればきりがない。素敵なシーンはいくらでも挙る。
滂沱の涙を流したという感想も見る。確かなのは、観なければ文句の言いようも、涙の流しようもないということ。
★ ★ ★
映画誌『Cut』が「宮崎駿はなぜ、はじめて自分の映画で泣いたのか? 「風立ちぬ」三万字インタビュー」なる特集を組んでいて興味深く読めました。
映画の前でも後でも良いけれど堀辰雄の『風立ちぬ』と『菜穂子』も読んでおかれることを勧めます。
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少し前にアニメーション映画を見てきました。新海誠監督の『言の葉の庭』です。
劇場はバルト9です。事前情報何もなしでバルト9で見たのですが、大正解。なぜかというとこのお話の舞台は新宿御苑がメインで、新宿バルト9は御苑から道路を挟んだ向かいにあるからです。加えて、映画を見た当日は雨。劇中でも雨のシーンの多い『言の葉の庭』にぴったりの環境で見ることができたのでした。あらかじめ知らずにいたことも含めて感慨深い映画となりました。
『言の葉の庭』のストーリーはシンプルです。雨の日に学校をサボって新宿御苑の休憩ベンチで過ごす高校生の男の子と謎の女性との出会いをしっとりと描いた話です。それ以上の知識は無用。新海誠のこれまでの作品のように「えっ」と思う(ちょっぴり違和感のある)SF設定もない落ち着いたドラマが展開します。あ、公式サイトでやっている予告編ムービーは見てはいけません。知らなくてよい、とくに内容の期待を膨らませるようなものではなく、ネタバレだけをするたちの悪い予告です。落ち着いたラブストーリーであることだけ知ってそこに期待して見に行くのが吉です。
お勧めしたい理由がいくつもあるのでそこだけ。
まず、この映画、見所の一番は映像にあります。駅などで見かけるポスターの彩度の高い独特な緑色、あの美しさがそのままアニメーションとして動きます。まず間違いなく、この紹介を読んでイメージしたものよりも美しいものが劇場で見られるはず。Blu-ray? 大画面テレビ? ホームシアター? それも良いですが、大きなスクリーンと美しい光景に息をのむ観客たちの作る空気は劇場でしか感じられないもの。それを実感するために劇場上映をお勧めしたいです。
細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』もアニメーションの新しい時代を感じさせる素敵な映像でしたが『言の葉の庭』にも写実寄りのセンスで『おおかみこども』と比べても進化した、実写では撮ることのできない理想の——まるでスチル写真の奇跡の一枚かのような光景が動きます。
そうスチル写真的なのです。ただスチルが動いて動画になっているのではなく、動くことでスチル写真の空気が生まれます。静と動の逆転があります。
スチル写真的な側面との符合は舞台となった新宿御苑とも重なります。御苑は写真好きが集まる都会の撮影スポットとして有名な場所です。
そしてこの作品では「おっ!?」と思う3DCG的なシーンもあります。“的”ではない明確に3DCGが使われたシーンも。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズにもジブリのアニメにもなかった映像としての新しさが、けして奇抜ではない実写的なセンスの生むものではありますが、アニメーションにはこれまでなかなか描くことのできなかった何かが感じ取れるはず。
バルト9で見られる方は早めの上映回を、できれば雨の日を選んで、上映後には新宿御苑を散策されてみられることもお勧めです。御苑の入場は16:00までです。
同時上映であった「だれかのまなざし」がYoutubeで公開されていました。
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