PCゲーム『flowers』
flowers
Innocent Grey
2014.4.18
flowers
パソコン用のノベルゲームです。
百合ゲームが出るらしいと知って楽しみにしていたもの。
製作元のInnocent Greyというソフトハウスはミステリタッチで残酷描写のある18禁ゲームメーカーとしてノベルゲームファンには知られているようです。ざっくりした言い方をすると「エロゲ」メーカー、のはずですが今回のこの「flowers」は全年齢対象。百合ものであると知って関心を持ち、公式サイトを見てみたら好みの絵柄、ということでAmazonにて予約購入。発売日当日に届いたものをさっそくレポ。
パッケージ内容
パッケージは複数枚入の音楽CDくらいのサイズでコンパクト。外箱はシボの入った水色の紙パッケでタカハシマコ『スズラン手帖』の装丁を連想させる風合いです。コート紙ではない紙らしい質感。イラストもデザインもとてもフェミニン。中身への期待がぐぐぐと膨らみます。
紙箱の中には音楽CD同様のプラケースに収められた光ディスクが2枚。ゲーム本体は1枚でもう1枚はドラマCD。ドラマCDの方は初回限定版用のものらしいです。
インストール
動作環境はWindows7以降のパソコン、でしたがWindowsXPでも動くだろうと試してみたところ動きました。最初は「d3dx9_43.dllが見つかりません」とエラーメッセージが出たのもののdllを導入してみたところ無事に動きました。(DirctX9を導入) ハードウェアもVAIO type P程度(初期Atom)の性能で十分なようです。
Mac OSX上のCrossoverMacというWin32API仮想環境でも動作しました。
ゲーム本編
パッケージングの盛り上げた期待を裏切らないイラスト、演出、シナリオテキストであるように思います。昔の女学校を思わせる(少女漫画のお約束的な)ミッションスクールが舞台となって物語が進みます。ゲームシステムはノベルゲームらしいもので静止画の立ち絵+心理・情景描写のテキスト+セリフ(テキストと声の両方)という作り。イラストは公式サイトの紹介の通りで表情・リアクション別に立ち絵が切り替わるタイプ。繊細な絵柄でパッケ絵に惹かれて購入した身にも「綺麗。可愛い。すごくいい」という印象になりました。まだ始めたばかりですが、絵も音楽もテキストも好感触。テキストウィンドウ右端にある“百合ゲージ”なるものにクスリと笑ってしまいました。微妙にエロティシズムが漂います。
序盤で事件らしい事件もなく学園の案内を受けている進行状況なので先の展開如何で感想も変わるかもしれませんが、広報用イラストやパッケージの少女趣味的でフェミニンな装いにぐっと来るタイプの百合好きさんであれば購入しても大ハズレということはないと思います。いえ、むしろアタリの感触。公式サイトには体験版も用意されているようです。私的にはオススメ。
クリアしての感想
4月29日、マユリエンドをクリアしました。
王道的お嬢様学校ものとしては正攻法の、マリみて風の世界観・美意識をかっちり、きっちり隅から隅まで行き届かせたゲームでした。美しいイラスト。アニメキャラのような極端さのない少女小説的な性格づけがされたキャラたち。友情や信頼に対するまっすぐな感性。雰囲気を支えてくれる音楽。学園七不思議にまつわり解かれるミステリ展開。丁寧に丁寧に紡がれた、少女漫画的な百合漫画を好む層にはほぼ理想の百合ゲームです。
超能力も魔法もなく、殺人事件も(たぶん)なく、丹念に少女たちの関係を描いていきます。全年齢向けの描写や設定であればこそ描ける、幻想的な「中学生日記」……かな。
ところどころ「男性/少年的な感性かな」と思うシーンもあるものの、それは主人公である蘇芳が女の子に恋してしまうキャラであるがゆえのアニムスの現れにも思えます。設定的には高スペックであるはずなのに対人スキルが極端に低く初心な男の子のような反応を見せる蘇芳はたいへん可愛らしくもありました。
マユリエンドですが……これは続編がありそう。タイトル画面に“Le volume sur printemps”という文字もあり四季ごとに一作ずつ区切られるシリーズものなのかも、と期待してしまいます。
とりあえず。
ひとつだけ。
続編が出るなら買う! 絶対!
おまけ・同梱ドラマCD
ドラマCDはドタバタ気味のクッキングイベントでほのぼの、といった感じの内容でした。エロという意味ではないですが煩悩を呼ぶサービスシーン多め。
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