『コミック百合姫』2014年7月号
コミック百合姫 2014年7月号
一迅社
2014.5.17
表紙 武梨えり
バトントワリングを題材にした表紙は華やか。
巻頭特集
ショートアニメが放映中の『犬神さんと猫山さん』の話題を中心に。『ゆるゆり』アニメの劇場版情報も。『REX』掲載の男の娘ものの宣伝も紛れていたりとちょっぴりカオス。
にこちゅう/言わない言えない言いたくない/ラブデス/犬神さんと猫山さん くずしろ
「犬神さんと猫山さん」のアニメに合わせたくずしろ四作・五本集中掲載。「犬猫」だけでなく読切や前号からの続きの連作の短編もありました。アニメの「犬猫」をきっかけに『百合姫』を手に取ってみた人には予想よりガチ&ダークなくずしろに驚く描写もあったのではないでしょうか。「ラブデス」は前号からの続き。
citrus サブロウタ
先々号から登場した柚子の妹分的キャラに刺激されたのか芽衣の行動も揺らぎます。脳味噌筋肉的な行動に出るあたり「芽衣さんさすが!」と感嘆。バタバタ派手なリアクションを示すのは柚子ですが真のトラブルメイカーは芽衣ですね……。どーなる次回!
友達じゃいられない! 蕗
プレーンな感じのする作風に「おや?」と少し意外性のある展開。作風の確立目指して進化中といった感じの百合姫コミック大賞出身作者。
friendship+ まに
ちんまり感ある絵柄の可愛さが際立つまに。どういうシチュエーションなのか戸惑うシーンもありますが、なんというか、とにかく可愛い。
私のヒーローさん 源久也
スーツアクトレス(特撮ヒーローの中の人)と特撮ヒーローオタのカップルの話。源久也お得意のげろ甘な二人です。
無酸素恋愛 コダマナオコ
『百合姫』でのコダマナオコの得意とする、キャラクターそれぞれの思惑の違い、欲求の違いを抱きつつの微妙な距離感が今回も素敵でした。部活動のトップとリタイア組のコントラストが緊張感ある関係に。
ナチュリーズ(後編) あおと響
百合姫コミック大賞翡翠賞受賞の受賞後第一作。童話の主人公たちの生まれ変わりであると信じる少女たちのお話。前号からの続きとなります。この作者の描く漫画には独特の空気がある気がします。次にはどんなお話を読ませてくれるのだろうと期待せずにはいられません。
キスからはじまるコイゴコロ 仲原椿
タイトルの通り、ではあるのですがタイトルから連想しそうなレディコミ的ストーリーではなく少女漫画寄りです。さわやかあっさり系の絵柄。キスをきっかけにした瑞々しいお話で、印象も良いのですが一点。見開きのキメシーン、直前のページとの繋がりでちょっと戸惑うことに。これはもったいないなと思ったのでした。
ゆるゆり なもり
櫻子の家に集まることになったり、りんご剥きを題材にしたり。いつもの楽しい「ゆるゆり」なのでした。
BGMRSP 河合朗
アニメの『メカクシティアクターズ』を見て、ニコ動の「カゲプロ」一連の動画を見て思ったのですが、カゲプロ的なものが好きな人は特にこの作者のお話が響くんじゃないかと思ったのでした。巻中カラー扉のついた掲載です。
ホーム・スイート・レシピ 井村瑛
前号、憂鬱なお話で来た井村瑛、今回は甘々な雰囲気で来ました。登場したお菓子のレシピおいしそう……。と思ったらTwitterで作者さんに「作ってみた」レポを出していた方がいらっしゃいました。これは作りたくなるよね、うんうん。
先生卒業(後編) 大沢やよい
前回からの話の続きです。先生に交際を申し込んだ主人公。進学のための諸々も済んでいよいよ先生の返事を、というところで拒絶の言葉がもたらされ、その理由を求めて先生の回顧が始まるのでした。後編では回顧シーンから“今”へと物語が繋がれ……。しっとり落ち着いたほっとするお話でした。
喃喃喋喋 竹宮ジン
前回からのダイレクトな続きです。ほのかな思いを寄せていた友達が百合カップルとして違う相手を得てしまったことで心寂しくもあるあおい。そんなあおいを見かねたのか微妙なアプローチをしかけてくる奈緒。期待通りに落着してくれるのだろうか、と次号が楽しみ。
月と世界とエトワール 高上優里子
作中では夏休みモード。岸辺世界と帰省……というか郷里の祖母の元に避暑に来たよぞら。世界とよぞらを結ぶ因縁が明かされていきます。前回と今回、非常に楽しみな展開で来ていて読んで満足感。カラーがとても映える作者だしここらでカラーページ来ないかなぁ。
himecafe
今回のhimecafeゲストは井村瑛。アンケ葉書の質問を元に編集者と対話形式で進めていくコーナーなのですが、前号の「天使がいた日」の創作発端エピソードがとても面白かったり。お笑いが好きエピソードとか意外なネタも。
百合SSを書こう
「百合SSを書こう」コーナー、しっかり連載化していて今回は「二次創作百合SS作品大募集!」だとか。…… ( ・_☆)キラーン
ガチ百合道 ねこ太
三次元の生ものはけっこう際どいネタなのではとふと藤枝雅の声優漫画を思い出したり。どきどき。
Vespa 大北紘子
中世〜近世ヨーロッパのような世界、女ばかりで男はどうやら絶滅しかかっている模様。テクノロジーでヒトの繁殖はできているらしいのであるいは中世文化が復興している未来のお話なのかもしれません。大国の女王に求められて嫁ぐことになったお姫様。男勝りの気丈さを持つ姫を待ち受けていたのは女王による陵辱の日々。姫を取り戻そうと襲撃を企む主人公。その結末は、というのが今回の最終話。三回の短期集中連載だったけど短く感じました。嗜虐キャラの女王にも見えないところにきっともっとドラマがあり、姫にも主人公にもやはり細かなドラマがありそうな気がしたのです。六月予定らしい単行本『Vespa』を読んでからあらためて感想を。
あやめ14 天野しゅにんた
少し前から聞くようになった“マイルドヤンキー”という言葉があります。そしてかなり市民権を得た“中二病”という言葉も。「あやめ14」シリーズはこのどちらの要素も含んでいるテイストのお話。でも、ちょっと、多分に、昭和っぽくもあります。ダジャレ感漂うあたり。もう、なんで三銃士なんだ〜。
君が千年のかざとしぞみる 河合朗
BGMRSPを掲載していた河合朗、二本目です。時代物です。花魁ものです。絵柄もBGMRSPとは変えてきていてすっきりさせて、パース感もどことなく浮世絵風。『百合姫』では現代物・女子校物が中心で時代物は新味がありました。
ハニースイッチ ちさこ
香りをテーマに。同性の同僚に愛用の銘柄と同じハンドクリームをプレゼントしてみたらお揃いであることが妙に気になり始めて……。作者得意のフェミニンな要素たっぷりのお話。
ストレンジフレーバー 慎結
怪談ネタです。ちょっぴりホラー調。でもこれ以上説明するとネタバレてしまいそう……。
Cerasus Yedoensis 片倉アコ
「桜」と名付けられた主人公の前に現れた「ヨシノ」と名乗る少女。どことなく小説のような、詩のような調子でしっとりと展開するお話。厭世的になったり自己嫌悪を感じたりしがちな年頃の一コマ。
百合男子 倉田嘘
百合女子たちと百合男子が紡ぐ大きな網が引き絞られて同人イベントで一同に会する啓介たち百合ファン。テンション高く面白かった! しか〜し、なんということでしょう。作画がちょっぴり間に合わなかった部分があるみたい。そして最終ページ。「第一部完」の文字が。ええっ?と思ったのですが、次号予告にも「百合男子」のタイトルが並んでいるので間を空けずに続くようです。
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今号には百合姫コミック大賞の結果発表もありました。そういえば峰なゆかのyuri-noteは隔号掲載なんですね。続きが待ち遠しい……。
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