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『青年のための読書クラブ3』タカハシマコ/桜庭一樹

青年のための読書クラブ3
漫画:タカハシマコ
原作:桜庭一樹
SoftbankCreative Flex Comix フレア
2014.7.12

 タカハシマコによるコミック版『青年のための読書クラブ』がこの第3巻で完結しました。

 原作は桜庭一樹の『青年のための読書クラブ』という同名の作品です。とあるカトリック系女子校の創立から合併・共学化による幕引きまでを連作短編の形で綴ったお話で、少女漫画の——あるいは吉屋信子の頃の少女小説の中に登場するような少女の園が描かれます。華やかであると同時に甘美な毒の仕込まれた世界。

 その『青年のための読書クラブ』が漫画となって完結しました。
 私はタカハシマコ版の1巻で『青年のための読書クラブ』に触れ、次いで桜庭一樹の原作を読み、両方を繰り返し読みながら続刊を待ちました。1巻は2009年1月刊。レーベルごと版元が変わり、web掲載を追いかけ、2019年の聖マリアナ学園終焉に現実の今が追いついてしまうかもしれないとはらはらしたこともありましたが無事に完結。単行本になった3巻を読み、1巻から読み返し、原作を読み返し、さらにもう一度タカハシマコ版を通して読んで「ああ、良かった」と息を吐きました。
 五年がかりの連載が完走したのも、漫画そのものも、漫画と原作の関係も、ぜんぶ含めての「ああ、良かった」です。

 漫画版は原作に忠実で、割愛されたエピソードもあるものの少なくとも「別物」と感じる人はいないはず。原作に忠実なだけではなく徹底的な消化・吸収&再構築がなされていると感じられ、桜庭一樹作品でありつつタカハシマコ作品になっているように思います。例えるなら、声の質も声量も歌唱法も違うけれどどこか通底するもののある歌い手二人の最良のユニゾンのよう。1巻の時点で感じた「幸せなコミカライズ」という印象はさらに濃くなりました。原作、漫画版共々、女子校テーマ、少女テーマのバイブルとして本棚の一番いい場所が定位置に。

 web連載の場になっていたCOMICポラリスでは8/14まで「特別編」として『青年のための読書クラブ』で使用されたカラーイラスト類が公開されてます。単行本1〜3巻の表紙が並んでいて初めて気づいたのですが、表紙カバーと扉が3巻分セットの一幅の絵を構成しているようです。この柄でリボンとかテープを想像したら素敵なんじゃないかな、とふと。

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