『宝石色の恋』西UKO
宝石色の恋
西UKO
白泉社
2014.7.31
『楽園』に掲載された西UKOの短編を集めた単行本です。『Collectors』という前著の印象がとても良かったので楽しみにしていたもの。百合、というよりはレズビアンの日常を描いた短編集です。
『百合姫』を始めとする百合漫画では恋の始まりを描いたお話が多くセクシャリティがまだ不安定であったり自覚できなかったりする段階を対象にしていて、そういう範囲のお話はなんとなく“レズビアン”や“同性愛”と呼ぶより“百合”と表現した方がしっくりくるかな?と思うのです。もとより百合の定義などどこにもないのであくまでそんな気がするというだけのこと。
西UKOのお話に登場するのははっきりと性指向が女性同性愛に向かう人物たちです。そして格好いい大人の雰囲気があります。ファッション誌から抜け出して来たような空気をまとうお話たち。キャラがファッショナブルな装いをした社会人、ということもあるのですがそれだけでないシャープで静けさを感じる作風なのです。絵になる構図、“間”を生かす表現、美しい体の線への拘り。シチュエーションや設定的には生活感漂うはずのものもあるのですが、くたびれた日常感とは無縁であくまで格好良いのです。
表紙も素敵です。マーブル模様の水彩風背景に浮かぶ箔押しの宝石。非光沢紙の風合いも手に心地よく。『Collectors』の表紙もすごく良かったっけ、と奥付を見るとどちらも同じ人が装丁を担当していました。
帯には「全18本を収録」とありますが目次に並ぶのは17タイトル。18本目は、さて、どこでしょう。
白泉社公式に試し読みもありました。紙の実本はwebの画面で見るよりも引き締まった印象です。オススメ。
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