コミック百合姫 2015年3月号
一迅社
2015.1.17
今号も新連載ラッシュの『百合姫』。
表紙 かんざきひろ
テレカかプリクラかという感じの表紙デザイン。表紙を開いたところにプリクラ風の綴じ込みページが。む。シールになっているのかと思ったのですがそういうわけではない模様。そういえば今年の表紙シリーズは装丁面での小細工はまだナシですね。……と思ったら巻頭カラーページに続きがあって表紙の二人のTwitterアカウント( @septlove_owo @saki0307XXX )入りの記事がありました。今のところツイートはほんのちょっと。Twitterのこのアカウント使って何か展開させるのかな?
12分のエチュード 仲原椿
新連載です。部活もの。高校に進学して陸上部に入部しようとして吹奏楽部に入部してしまった主人公。間違いからではあったけれど、と始まる吹奏生活。と紹介するとコメディ的な印象ですが陸上→吹奏楽へのスイッチもしっかり描いていて「お!?」という感じです。初回&巻頭ということもあり60ページ超とボリュームもあります。
少女失格 河合朗
こちらも新連載。スクールカーストが明確でいじめやらなんやらで息苦しい学校に転校生がやってきた。転校生はどこのグループにも属そうとしないアウトカースト派。と、ちょっぴり緊張が走った日常の教室で、うとうとして目覚めたところで突発するバトルロワイヤル。『百合姫』では少数派のアクションもの。信頼と裏切りのゲームが展開することになりそう。
ラストワルツ 片倉アコ
今号三つ目の新連載。学園の生徒を守り奔走する影の請負人。最後の晩餐というのがお話のキーワードであるようです。少女漫画寄りの絵柄になんとなくアクション苦手そう?とか失礼な想像しちゃったのですが、あれ? 交差技・止め絵的(時代劇が得意とするタイプ)の素手格闘が短いシーンながらいい感じで極まってました。
2DK、Gペン、目覚まし時計
そして四つ目の新連載。こちらはしっとりとした日常もの。すごーく生活能力の低い相方と同居するなんでもテキパキできてしまうOLのお話。この作者の描くダメキャラは可愛い〜。九州の言葉がさらっと織り込まれるのも魅力的。連載で次回への引きも用意されていますがしっくり落ち着いた読後感。
立花館ToLieあんぐる merryhachi
らっきーすけべ?コメディの第二回。連載初回も思ったのですが、主人公視点のこのお話、スカートの裾や胸元にがっつり視線が行くという時点でナチュラル・ボーン・百合ーズ。「マリみてみたいなの」が百合漫画の第一イメージであったこともあって読み手的に慣れずにいますが楽しい漫画であるのも確か。
キミのそばで、ここはユメのなか 春日沙生
寝ている間に仕事を片付けてくれる夢のような小人。そんな存在がいたらいいのに、という想いを物語に。こういう短編らしい短編があるとなぜか『百合姫』らしさを感じるのでした。
捏造トラップ コダマナオコ
コダマナオコは百合漫画でそのキャラ・設定は大丈夫なの?という際どいところを攻めて来つつハズさないのです。この連載では男女のカップル二組の話として始まったのですが、第1話にして主人公に対し小悪魔的にセクシャルなアピールを仕掛けてくる幼馴染み・蛍が描かれることもあり、主人公、幼馴染み共に彼氏がいるにも関わらずに百合オタに「そうこなくっちゃ〜!」と拳を握らせてくれます。もちろん今回の第2話でも、初カレとの関係を少しずつ進展させていく主人公と小悪魔チックに煽りつつもじわじわと手綱を引き絞っているかに思える蛍に読者としては声援を送るのです。蛍の側の彼氏の「おや?」という側面なども挟み込まれつつ次回がとても楽しみなのでした。
喋喋喃喃 竹宮ジン
ますますややこしくなる三人の関係。お、これは一気にカタがつくかな?という展開だったのですがもう一波乱来ました。ひゃー。
ゆるゆり なもり
櫻子のまんがにインパクトがありすぎてすべて持っていきました。
Himecafe
今回のHimecafeゲストは倉田嘘。すっかりテンションの高い啓介のようなキャラが定着している印象。次回は大沢やよいがゲストの模様。あおと響とか春日沙生とか仲原椿とかこるりとかmerryhachiとか未登場の作家さんも呼んで欲しいな。
citrus サブロウタ
修学旅行編では凸凹双子姉妹が登場し芽衣&柚子と絡みます。ここまで対立するライバルが投入されてきたこともあって双子との競争関係はややもどかしくあり。ワンクッション挟んだ双子との関わりがダイレクトになりそうな引きが用意され、次回が楽しみな展開に。芽衣のキーワードは「必要とされること」のようなのだけれど、祖父や父との関係も一応はクリアされた状態でまだ伏せられた要素とつながりそうなことが気になります。
犬神さんと猫山さん くずしろ
基本四コマですが大コマがあったりして「かーわーえーえー」ですよ。相馬さんは周りを苦労させる人ですね……。
月と世界とエトワール 高上優里子
前々回あたりから最終イベントの気配の濃かった月エト、ついに今号で最終回。海百合様、いいとこごっそり持っていきました。世界とよぞらの恋愛関係の進展もずっと読んで行きたかったな。3月18日には単行本4巻も出る模様。
ゆりのおねえさん あおと響
百合男子事始め的な(たぶん)少年視点による百合っぷるご近所さん観察記。この作者さんはショタも可愛く描くなぁ……。ほのぼの日常話もいい感じだし、次回からは連載が始まるようです。こってりした童話的な世界観のお話でデビューした方ですが、未だ作風の広がりが未知数で新連載もどんな話になるのか楽しみ。
私が会社を爆破しようとした時の話 ちさこ
「会社」シリーズ、今度はタイトルで爆破しかけてしますが、非常に忙しい職場に勤めるOLのお話です。アイドルのイベントに行きたいのに忙しすぎて行けない、女上司が邪魔をする、と思いきや。
パブロフガール ねこ太
姉のアウトさ加減が割とリアルに想像できてしまいました。妹ちゃんキレてみせるくらいで済ませてくれるなんて天使……。
あやめ14 天野しゅにんた
下ネタギャグを読んでいて「天才バカボン」が頭に浮かんだのでした。お下品ギャグの方向性が昭和中頃的な感じがするからでしょうか。
ラブデス くずしろ
冒頭であっきーの夜道の一人歩きを翔子が心配するのですが、あっきーも翔子も痴漢くらい平然と片付けてしまいそう、むしろ痴漢の命の方が危うい気がしてならないのです。
かなえて!ゆりようせい 源久也
題字の隣に「いちりんめ。」とあるのですが正式にシリーズ化したのでしょうか。今回も得体のしれない百合妖精だった……。
桃色トランス こるり
およよ。今回はほっこりする感じのワンシーンでコンパクトでした。毎回えっちシーンが入ってくるという方針ではないのかな。
俺と百合 倉田嘘
啓介妹・みゆきの友達が出てきたりと第二部に入って顔ぶれも増え、少し捻った展開の模様。これは鎌倉君が出てきて啓介並みにフラグをへし折っていく姿が見られるのか。あるいはみゆきや爽が百合女子たちとペアを作っていくのか。
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次号もあおと響、春日沙生、古川一樹の新連載が始まるようです。この三号ほどで短編中心だった誌面が連載ばかりへと一気にシフトした印象。作家陣もかなり変わっていて2011年1月号以来の誌面大刷新となっているように思います。