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『あの娘にキスと白百合を 4』缶乃

あの娘にキスと白百合を 4
缶乃
メディアファクトリー
2016.2.23

 「あの娘ににキスと白百合を」シリーズ待望の新刊です。
 今回も面白かったー。陸上部コンビのエピソードが中心の一冊で、え~と、詳しく書くとネタバレになってしまうかな。今回は本編5話+番外編2話収録で、5話の本編のうち3話が萌+瑞希の陸上部の二人です。この二人にこんなにばっちり焦点がくるとは思っていなかったです。発売日に本屋を四件回ってやっと見つけて帰りの電車の中で読み、心の中で快哉を叫びました。
 女子校百合もののメインストリームをぐいぐい進む群像劇的なシリーズで、本来この路線は『百合姫』が走っていたはずですがすっかりお株を奪った印象。かつての日常物少女小説的というか(NHKでやっていたドラマの)中学生日記的というか、青春の面倒くささがいっぱい詰まってます。大人の読者としては読んでいると気恥ずかしさにじたばたしたくなる感じ。
 百合漫画ファンには当然おすすめ。少女漫画読みの方にも楽しめるのではないかと思います。今から次の巻が楽しみ。

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一太郎2016購入

一太郎2016購入

 一太郎の2016年版を買いました。これまで使っていたのが2008年版でさすがにそろそろ更新しても良い頃合いです。パッケージごとどこかに行ってしまったこともあって、新規でプレミアムではない無印の特別優待版を買いました。

 購入はJust MyShopのダウンロード版。小説同人誌の組版が目当てです。

導入

 購入手続きを済ませるとJust MyShopからはダウンロードリンクの記されたメールが届きます。最初に起動するインストーラー自体はとてもコンパクトですが、タウンロードするトータルは2GB超。そのうちの約半分が「感太」というツールのデータでした。感太は後から分離して削除できます。

 インストールして機能のチェックをするうちに一番のお目当てであった校正機能がメニューからグレーアウトされたまま使用できないことに気づきました。対処法を探すも「基本編集フェーズではドラフトモードだと校正機能は使えない」というものくらいしか見つからず、試しに一太郎をいったん削除し再インストールしてみたら使えるようになりました。その後、あらためてネットを検索してみると同じ症状の人が複数……。
 こんなトラブルと対処に時間を食われるのはうんざりです。

校正

 一番期待していたのが校正機能のブラッシュアップ。

Ichitaro_proof

 校正の精度自体は良くなっているのかわかりませんでした。が、はっきりと使いやすくなってる! 一太郎2008では校正作業の中断&再開、あるいは指摘箇所の一覧や移動が不便だったのですが、画面左端のジャンプパレットで融通が利くようになりました。これはどのバージョンで搭載されたのかな。もっと早く更新しておくべきでした。
 また校正機能のひとつである「表記揺れ」チェックも同様に使いやすくなりました。こちらは以前は中断さえできない作りになっていたので嬉しいポイント。

一太郎メイクはどこ?

 一太郎2008ではツールバーを表示させる場所、体裁を自由にカスタマイズできるメイク機能がありました。使うパソコンがVAIO Pであったり8inchタブレットであったりする身にはツールバーの類は画面左右に縦表示して配置して、画面の縦寸を有効に使いたかったのです。特に縦書きのイメージ/印刷イメージ表示の編集画面では一太郎2008の「縦組みタイプ」は便利でした。
 ところがキーエンス配下になって内部コードを刷新したタイミングででしょうか、このメイク機能がなくなってしまったようです。結局ツールバーは非表示で使うことに……。
 もっともメニューがすっきりしたのでこれはこれで使いやすくはなっています。

ePub/電子書籍出力

 新verへの更新で気になっていた機能のひとつがePub出力。さっそく試してみると……。
 リフローなってる。ルビOK。傍点OK。倍角で長くしていたダッシュはNG——これは印刷対策なので原稿の方で素直に二つ並べるのが正解。あ、字下げして別フォント指定してあった部分がちゃんと字下げでリフローできててフォントもはっきり違うのわかる。これはけっこう実用的かも。
 iPadのiBooksやKinoppyでは一通り問題なく表示できましたがMac OSXのiBooksではレイアウト枠(扉ページ)から後ろが表示されず。表示環境によるばらつきがあるようです。


ATOK2016

 明鏡相当の類語の使い分け説明のついた単語解説機能が搭載されていてオプション辞書いらずになっていました。MS-IMEでもことえりでも類語の使い分け辞典的な機能を積むようになってきているのでATOKも、ということなのでしょう。こういった機能が標準で載るのは歓迎です。小説を書く人には特に便利なはず。
 変換効率はかなり高いです。特に係り受けというのでしょうか、「本を読む」のように「本」と「読む」のように互いに関係する語を含む文章では大変優秀。

 ただそのあたりの優秀さやショートカットキー(カスタマイズの及ばない操作手順)が私の使い方と相性が悪くて我慢しきれずにMS-IMEに戻りました。かな漢字変換機能は昔のOASYS程度のシンプルで動作の予測しやすい方が好みなのです。

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艦これ 2016年冬イベントクリア

冬イベント2016 【出撃!礼号作戦】&【捷四号作戦】

艦これ 2016 冬イベント クリア

 小規模イベントということで比較的簡単にクリアできた気がします。

ALL甲クリア

ALL甲クリア

 今回は攻略サイトいらずで「史実艦はどれだっけ?」ということだけ調べて該当艦で編成を組むと問題なくボスに到達。装備も「潜水艦ならソナーセット」くらいの適当さで、陸上施設ボスには三式弾を。WG42も駆逐艦の陸上設備向けでエフェクトが楽しく。E-3のボス最終形態は少し手こずりましたがこちらは編成制限らしきものがなく、比較的順調にクリアできたのでした。

艦これ 2016 冬 E-3

 上がE-3クリア時のスクリーンショット。北上さんの雷撃カットインが決まりました。そしてこのS勝利でのドロップが沖波。やたー。

堀り:未所持艦探索

 続いては、母港に不在のGraf Zeppelinグラーフ・ツェッペリン、瑞穂、海風を求めイベント海域を周回です。今回のイベントではクリア後のレア艦探しが楽になるよう設定されているようで、比較的省資源で周回できるようです。E-1は水雷戦隊でE-3もGraf Zeppelinだけで良ければボス手前までで済むので支援も大和型も不要となります。

2/15、E-1 Fマスにて瑞穂ドロップ。
2/20、E-3 LマスにてGraf Zeppelinドロップ。
2/22、E-1 Jマスにて海風ドロップ。
 これで今現在入手可能な艦娘が一通り揃ったことになります。

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映画『オデッセイ』

オデッセイ

 映画『オデッセイ』を見てきました。バルト9の公開前日先行上映で。夜9時過ぎの3D上映回でお客は少なめ。原作の『火星の人』(上)『火星の人』(下)がとても面白く、映画を楽しみにしていたのでした。先行上映なんて見に行ったの久しぶりです。
 原作小説の感想記事『火星の人』

感想

 面白かった!
 『ミッション・トゥ・ザ・マーズ』や『レッド・プラネット』といった火星映画はB級ではありましたが火星の景色に見ごたえがあり火星もの好きとしてはお気に入りでした。今回の『火星の人』改め『オデッセイ』は火星映像という意味で旧作を確実に超えてきました。サバイバルものとしても面白く、主人公ワトニーに降りかかるのは火星の自然や技術的な失敗による災難だけ。この手の宇宙ものでありがちな陰謀ネタではなく、ただ純粋な冒険ものなのです。こういうタイプの冒険ものは登山や犬ぞりの極地探検以降ではあまり見られなくなってしまって、そこを堂々と描いて楽しませてくれるのは原作同様、文句なしに楽しいです。

 主人公のワトニーは明るいタフガイです。冒頭、トラブルで火星にひとり置き去りにされるのですが、ひとりぼっちになり負傷したワトニーはブラック・ジャックさながらに自らに応急手当を施しへこたれないところを見せます。繰り返し見ていないので確認できていないのですが、この導入部で見せるワトニーの体格、よく覚えておくといいかも。ストーリー中ほどで一回、終盤で一回、彼の裸の肉体が映し出されます。火星サバイバルのハードさを反映して肉付きが変わっていたんじゃないかな。
 探査メンバーの一人として火星を訪れたワトニーは砂塵嵐での事故に巻き込まれ、死んでしまったと思われていました。どっこい生きてた砂の下~と始まる生き残りの工夫の数々。原作では生存のために必要な物資――食料や水や空気や熱――が示され、それを手に入れようとひとつずつ問題をクリアしていく様子が第一の見せ場でした。映像では数字の部分があまり頭に入ってこないこともあってシンプルに見せていました。うんちく好きSFファンとしてはもうちょっと説明しよう!な感じが欲しかったかな。とはいえ、うんちくてんこ盛りにしてたらたぶん途中で映像に飽きの来る瞬間が何か所もあったことでしょう。
 原作との比較だとワトニーは落ち着いたキャラになった感じで「しっかり勉強して科学者になったクレヨンしんちゃん」みたいな原作版ワトニーより少しだけヒーローっぽくなってます。二時間以上の長尺なので上映前のトイレは忘れずに。これだけ長くても原作のエピソードは拾いきれずにダイジェストになってもいます。

 火星ローバーも宇宙船も火星地表用気密服も非常に地味でメカのデザインで魅了するタイプではないのですが、実際の火星有人探査計画で示されたイラストのイメージをよく汲んだ形になっていて(必ずしも本当にそうなるという形ではないにしても)科学ドキュメンタリーを見ているような堅実感があります。情報機器もすごーく地味で普通のパソコンとテキストコンソールだけ。『2001年宇宙の旅』や『GATTACA』の地味カッコ良さに近い感じです。適度なやぼったさもあります。

劇場

 字幕/吹替、2D/3D/IMAXと上映を選べます。火星もの好き的には3Dの火星の景色がとても素敵に思え、3Dで見て良かったと思ったのでした。3Dだとサイズ感がミニチュアっぽく見える瞬間もあるので大きなスクリーンがいいかも。IMAXで見れば良かったかな、とちょっと思ったのでした。3Dはまた数値インジケーターが重ねられるモニター風のシーンとも相性が良くて、一眼レフのファインダーを覗いているみたいな効果がありました。砂塵嵐の吹くシーンも3Dらしさがとても良かったです。
 音響については風音やロケットの噴射音など、低音がふんだんに使われていることもあり観覧したバルト9のシアター6のパワフルな音と相性が良かった気がします。

蛇足

 原作の感想にも書きましたが映画版でも「風、強すぎ」というのはありました。火星の1/100気圧以下の環境では風そのものによるトラブルは起きづらいです。冒頭のお話のきっかけになる事故のシーンや中盤の応急処置エアロックのあたりですね。火星大気圧が風で変動しても100倍の圧力のかかった居住設備には吹き付けてくる砂音がさやさやと鳴るくらいじゃないかと思います。エアロックの壊れた原因も映像だけだとよくわからず、復帰シーンも割愛されたのが惜しかった。ローバーの事故も端折られていました。テザー捕獲シーンも映像化されてみると「そこでテザーを手繰り寄せると回転数が上がってしまう」というのがはっきりと。テザーを繰り出して回転数と遠心力を下げてから船長の装備した機動ユニットMMU側で回転を完全に殺してテザーを繰り込む、という推進ガス節約機動の捕獲シーンが見たかったかな。
 ヤボなツッコミになってしまいました。

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