« 『聖エセルドレダ女学院の殺人』ジュリー・ベリー | トップページ | 小説創作ユーザのための「ポメラ」DM200レビュー3・アウトライン編 »

『自生の夢』飛浩隆

自生の夢
飛浩隆
早川書房
2016.11.26

 寡作な飛浩隆の十年ぶり・待望の新刊です。『NOVA』に掲載された分は読んでいたのですが楽しく読みました。やっぱり飛浩隆のお話、好みだ〜。

 初出一覧です。

海の指Webコミックサイト「モアイ」2014年10月14日更新 →『ヴィジョンズ』大森望編、講談社、2016年10月刊
星窓 remixed version「SF Japan」2006年春号
銀の匙 曠野にて『書き下ろし日本SFコレクション NOVA8』大森望責任編集、河出文庫、2012年7月刊
自生の夢『書き下ろし日本SFコレクション NOVA1』大森望責任編集、河出文庫、2009年12月刊
野生の詩藻「現代詩手帖」2015年5月号(「La Poésie sauvage」改題)
はるかな響きWebマガジン「TORNADO BASE」2008年6月20日更新→『サイエンス・イマジネーション 科学とサイエンス、そして未来へ』瀬名秀明編著、NTT出版、2008年8月刊

 お気に入りは天才詩人アリス・ウォンの登場する「#銀の匙」「曠野にて」「野生の詩藻」三編。夢字香ムジカ忌字禍イマジカといった文字面を見るだけでも「かっこいい……」と痺れてしまうのですがその格好良さは作品全体のイメージの美しさや文章自体の魅力があればこそ。漫画界とのセッションもあれば伊藤計劃の影も差す飛浩隆ゼロ年代以降の総括でもあって、じっくりゆっくり読んで楽しんだのでした。SFの文芸としての側面を担うのが円城塔と飛浩隆なのだな、と改めて思った一冊。

|

« 『聖エセルドレダ女学院の殺人』ジュリー・ベリー | トップページ | 小説創作ユーザのための「ポメラ」DM200レビュー3・アウトライン編 »