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『ツインドルの箱庭』稚野まちこ

ツインドルの箱庭(上)(下)
稚野まちこ
集英社ヤングジャンプコミックス愛蔵版

 2017年5月に2巻が発売し完結した(と思われる)お話です。
 2巻発売時に書店で平積みになっている表紙に惹かれたのですが、一年先に出ていた1巻が見当たらずようやく見つけて買ってきました。

 良かった……。

 体裁は大きめコミックスのA5版。一冊1000円くらいのものが多い版型である中で少し高めで二冊3000円ちょっとの価格設定もページを繰って納得。全ページカラーでした。表紙カバーは金色の箔押しで飾られた紙の素材感のあるマットな仕上げ。電子書籍が身近になりつつある今、紙本はこうした装丁に気を使ったものが嬉しくなります。

 表紙を見て気に入って(上)(下)巻揃いで買ってみて、表紙から受けた印象から期待するままの読み味に嬉しくなりました。服だけじゃないゴシック&ロリータ、しかも双子もの、と窺わせてくれる予想が大当たり。本を買ってから気づいたのですが『となりのヤングジャンプ』で一通り読めるようです(2017年6月5日現在)。単行本未収録の番外編や宣伝漫画もありました。少しでも気になったのであればチェックをおすすめします。

 テイストはゴシック&ロリータでキャラは少女漫画寄りのポップな絵柄。しっかりした物語が据えられた本格魔法ファンタジーです。主役は双子の姉弟。幼い頃にはすべてにおいて手本となっていた優秀な姉と姉を慕う弟。やがて大きくなった二人はいつの間にかその立場が変わってもいき——という双子もの的にわくわくする設定。1巻前半ではまだ見えて来ない綿密な設定・構成。随所に散らされたゴシックな要素をあくまでも幻想的に美しく見せてくれるテイスト。とにかく「可愛い〜」と嘆息するしかない弟・ジルーベル。もしかして肉食系?な長身クール美女のジルベルタも素敵キャラですし箱庭を売る魔女のエルガルドも魅力的。美しくも残酷なゴシック世界に一読後すぐに再読を始めてしまいました。
 表紙買い、大当たり。

宣伝漫画にちらっと「第二部」の話題があったので再びこの魔法世界のお話が読める日が来るのかも。今からとても楽しみです。

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