小説創作のための一太郎2018プレミアム
一太郎2018プレミアム購入
一太郎をバージョンアップしました。2016から2018のプレミアム版へです。
プレミアム版は
- 一太郎
- 広辞苑第七版 for ATOK
- イワタ書体
- 詠太
- 花子
- Shuriken
- JUST PDF
のセットです。お目当ては小説創作対応の進んだ一太郎本体とテキスト読み上げ機能の詠太、久々の花子でした。
ダウンロード&インストール
購入はJust MyShopのダウンロード版。Wi-Fiが遅かったのか本体ダウンロードに三十分近くかかってしまいました。インストールも同じくらいかかった気がします。少し古めとはいえCore i3のノートPCとSSDドライブで回線も光なのに……。
プレミアム版パッケージを全部ひとまとめにインストールするメニューなどもあってワンクリックでインストールが終了するのは便利でした。
瑛太
楽しみにしていたテキスト読み上げ機能・瑛太。一昔前の不自然な声ではなく違和感の(比較的)少ない声で読み上げてくれます。朗読を楽しむという用途にはまだまだですが、校正機能の一つとして利用するなら効果的。黙読で校正を試みても意外に間違いに気づけませんが瑛太で読み上げながら文章を追うと目視で気付きにくい誤字が拾えます。また、瑛太では読み上げ速度が機械的に与えられるため、黙読で読み飛ばしてしまいがちなところをしっかり安定した速度でチェックできることも校正精度を上げる気がします。
一太郎:ルビ付テキストの読み込み
一太郎2017から強化された機能。青空文庫的な《》ルビ記号のついた部分をテキスト読込時に一太郎の整形済みルビにしますよ、という機能です。
対応している記号が
|(半角のパイプ)ルビを振りたい文字《ルビ》
ルビを振りたい文字
となっていて「どこで使われてるルールだろう?」と疑問に。調べてみました。
フォーマット | 記号 | 結果 |
青空文庫 | |(全角) (字種境界までの場合省略可)ルビを振りたい文字《ルビ》 | ルビを振りたい文字 |
小説家になろう | |(全角)もしくは|(半角)(漢字のみの場合省略可)ルビを振りたい文字《ルビ》 | ルビを振りたい文字 |
カクヨム | |(全角)もしくは|(半角) (漢字のみの場合省略可)ルビを振りたい文字《ルビ》 | ルビを振りたい文字 |
エブリスタ | |(全角)もしくは|(半角) (漢字のみの場合省略可)ルビを振りたい文字《ルビ》 | ルビを振りたい文字 |
アルファポリス | #ルビを振りたい文字__ルビ__# | ルビを振りたい文字 |
pixiv | [[rb:ルビを振りたい文字 > ルビ]] | ルビを振りたい文字 |
全角|も対象になるとより実用的かな。贅沢を言うなら青空文庫の
- 見出しタグ[#「○○」は×見出し]を段落スタイルに
- 傍点
あたりにも対応して欲しいところ。
あと一太郎の以前からの仕様なのですがCopy&Pasteではなく[ファイルの読み込み]からテキストを読み込む場合はShiftJIS限定。文字コードの自動判別が難しいのはわかるのですがさすがにそろそろUnicodeに対応しても良い頃合いです。utf8/16/32やBOMの有無を問わず。
対応待ちをするよりも自前で、と青空文庫+αのテキストを一太郎上でルビや傍点装飾するマクロを作りました。その解説記事『DM200アウトライン記号&青空文庫ルビの一太郎変換マクロ』です。
一太郎:ソプラウィンドウDM200連携
ポメラを愛用している人には嬉しいソプラウィンドウ経由の接続。新たにDM200にも対応していました。
- 上の「ルビ付きテキストの読み込み」が適用されないらしい
- ポメラ上にあるのがBOMなしのutf8テキストだと文字化けする
一太郎:文書校正
以前は小説で一太郎の機械校正をかけると整っていない口語や擬音語が誤指摘だらけでうんざりさせられがちでした。それでも機械校正の強力さは魅力で愛用していた機能です。そのあたりの煩わしさが2017版から改善されていると知って試すのを楽しみにしていました。実際試してみると、うざくない! これなら十分に小説創作ユーザにお勧めできます。
もちろん人力校正も欠かせないですが機械校正は人の眼では見つけづらい間違いを拾ってくれるので人力と重ねて利用することでよりミスの少ない原稿が作れます。おすすめ。ちょーおすすめ。詠太を併用した校正も重ねておすすめ。
ATOK2018
普段ポメラを持ち歩き小説を書いていることもあってパソコン上での文字入力はあまりせず活躍の場面が少ないです。それでも2016版より動作も軽く変換効率もかなり改善されている気がします。MS-IMEでも不満のない身だったりするのであてにならないかもしれません。
ATOK:広辞苑第七版
この記事を書くのにATOK版広辞苑を積極的に利用してみました。同義語もうまく引っ張ってきてくれたりるようになっているあたりは楽しいです。画像も入り語彙も多いです。
小説創作向けのATOK版辞書ツールでのお気に入りは明鏡国語辞典です。テキストライティングの友として言葉の使い分けや文法に特化した明鏡は使い出があります。
一太郎&花子:モジグラフィ
一太郎2016から搭載されていたモジグラフィ機能ですが今回初めて試しました。
テンプレから選んでタイトルを入れるだけでかっこいいタイトル文字ができます。これイイ。デザインをいじりたいときは花子モジグラフィ+でテンプレから編集していけば細かく調整できました。使えます。題字デザインがいつも同じになってしまって思いつかない同人字書きさんに強くお勧め。
花子
visioあたりがライバルの感じでしょうか。パーツを使って図を組み上げていくのが得意なタイプのようです。フローチャートや回路図の部品が用意されていたり、ビジネス文書や学校の配布プリント用らしきテンプレートが用意されている、と紹介すると想像できるのではないかと思います。UIもきれいに整理されていてMS-DOS時代を引き継ぐ混沌とした一太郎と比べると非常にすっきりとわかりやすくなっています。
自由なベジェ曲線も描けるのでInkscapeにかなり近いことができます。ノード座標の数値指定などは得意でないようなのでマウス操作メインの図形作成向きです。
一太郎に貼り付けた花子の図形、ベクトルデータのままPDFや電子書籍に出せるようになるといいなぁ。
花子で作った図形をSVGで保存するとブログetcにもベクトル画像のまま貼り付けできたりします。
2018年11月の文学フリマ用新刊『宝石の翼 セリエルの空』の表紙を花子で作ってみました。
飛行機の平面図とレタリングが花子上での作成で背景にした青いテクスチャはフリー素材サイトのブループリント柄を利用しました。題字は花子モジグラフィ+です。
一太郎2019プレミアムでは同人誌の表紙に便利な塗り足しやサイズ計算機能が載ったようです。うー。次も更新したくなっちゃうなこれ……。
花子と一太郎
2018年5月の文学フリマ東京用に一太郎と花子の組み合わせで図の多めなフリーペーパーを作ってみました。PDF版も公開してます。
四ページ、一枚を二つ折り・両面印刷したペーパーです。題字は花子モジグラフィ+をベースに少しだけ加工したもの。図も花子の部品と基本図形の組み合わせ。楕円軌道リングの形だけ座標からのプロットです。
作業しながら思ったのですが、一太郎と組み合わせる花子は快適です。文字グラフィも頭の中に抱えているデザインのストックの少ない字書きには雛形が提示されるのがとても便利。Inkscapeに比べるとレスポンスも軽快ですし、何より一太郎に図を貼る時にビットマップのdpiマッチを気にしなくて良いベクトル図形というのが気に入りました。
少しだけ不便に感じたのは花子で作った図のデータ量が大きくなりすぎると一太郎側の画像枠にうまく表示(印刷も)されなくなってしまうことです。フィルタを多用した花子画像だと顕著な模様。惜しい。
感想まとめ
一太郎2016、あるいはそれ以前のバージョンからの更新で一番気に入ったのは校正関連機能です。擬音語の校正指摘抑制+詠太で校正作業がとても捗ります。自身の書く文章は間違いが少ない、あるいは目視校正で完璧と思っている人にこそ試して欲しい機械校正。
花子の印象も大きく変わりました。広辞苑第七版やフォント、詠太を目当てにプレミアム以上のバージョンを買った人も一度花子を試してみるのをお勧め。
記事は少しずつ書き足していくつもりです(2/18)
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