pico4を買いました
questのヘッドストラップ
三月中頃のある日、初代oculus questのヘッドストラップが切れました。旧モデルのquestはすでに市場にもmeta(oculus)公式サイトにも交換用フェイスパッドもヘッドストラップも見当たりません。サードパーティ製の製品もずいぶん前に姿を消しました。自家修理で乗り切ろうかとも思いましたが、愛用の初代questはすでに二世代ほど時代から遅れてしまいました。何より、毎日ログインしていたVRChatに二日入っていないだけでいてもたってもいられなくなりました。
新しいHMDを買おう!
と決めたのが金曜の昼。
候補はinside out方式に絞りました。生活環境的にLightBoxを設置するのは難しく、愛用のharitoraXもinside out方式の補助向きです。選択肢はわずか。meta quest2はこれまで使っていたquestの後継機でスムーズな移行が予想できましたが、発売から二年半が過ぎています。vive XR Eliteはお値段高すぎで却下。pico4はこれから登場する新製品のトレンドも踏んでいます。パンケーキレンズ、前後重量配分の均等化された設計、見やすいパススルー、低価格。ネット上にはトラブル解決&使いこなし記事もそれなりにありなんとかなりそうだということで決心がつきました。
pico4購入
というわけで金曜夜には買って帰ってきました。pico4。大手家電量販店で五万円弱。新しもの好きの猫と一緒に開梱です。
ファースト・インプレッション
初期設定でe-mailアドレスやWiFi設定をしていて気づいたのが「酔いそう」であったこと。どうやら3D表示のない単なるディスプレイ状態の時はブレ対策機能が動かないようです。WiFiを設定し、ファームウェアのアップデートが終わって常用メニューが表示されたところで「酔いそう」感はなくなりました。
初代questは有機EL+フレネルレンズでしたがこちらは液晶+パンケーキレンズ。輝度差の大きなものを表示したときに見えていたフレネルレンズの縞々が見えません。pico4の液晶はquestの有機ELに比べるとコントラストがやや低い印象で最大輝度も控えめです。眼の負担は低そう。アプリ起動前のメニューを見ただけの段階で文字が読みやすく解像度の高さがもたらすアドバンテージを感じました。比較対象が初代questなのでquest2やPC用HMD専門メーカーの製品を使っている人には感動はないかも。あと、鼻の近くに遮光用の部品が付けられて、東洋人の平たい顔でも光漏れがなくなり見やすくなりました。眼鏡向けのスペーサー・オプションも入ってました。
そして装着感!
圧倒的に初代questより良いです。前後の重量バランスが良いせいか締め付けるように装着しなくても安定するので顔が痛くない。pico4で一番魅力的だと思ったのはこの装着感でした。これは家電量販店に展示機があればquest2と比較できるので、ぜひ試して欲しいです。VRで大切なのはHMD装着が不快でない、というとっても素朴な条件だったりします。ここにフォーカスしたpico4は長く実用に耐える気がします。
コントローラに最初から入ってる電池はいわゆる「動作確認用」のようです。けっこう早く(二日ほどの使用で) 電池切れを起こしますがeneloopに入れ替えてみたところ倍以上持ちました。片側につき単三×2です。
アプリ
初期状態では「ファイラー」や「youtube」や各種動画配信サービスのアプリ?リンク?が用意されていました。ファイラーはメディア各種のビューワも内蔵していて画像や動画類は一通り再生できるようです。SMB経由のLAN共有データもOK。youtubeで高画質動画を再生してみると、表示が高精細でしゃっきり。音質は初代quest比では低音が割と出ていてパンチがあり、高音がよく分離して聞こえるのでホームシアターっぽいです。没入して視聴するのに良い環境。耳の近くにスピーカーがある仕組なので音は周りにそこそこ聞こえます。寝ている人の近くでの使用はやめておいた方が良さそう。
picoストアを覗いてみると『オノゴロ物語』や『ALTDEUS』『東京クロノス』といった有名タイトルがありました。meta quest2で評判の良かった『BIOHAZARD 4』のVR版はなさそうです。questでも馴染みの3Dスケッチツール『Gravity Sketch』もありました。VRChatのquest版(名前は変わるだろうけど)も来るといいのに。
ゲームばかりでなく仮想オフィスの『Immersed』というのもあります。これはPC上での作業をそのままVRに持ってくる+協業者と連絡を取り合えるツールといった感じなのですが……pico4の表示性能でようやく実用範囲のVirtualオフィスに。Virtual Desktopより文字がくっきり見える気がします。リアルのキーボードの位置だけでもわかるともう少し使いやすくなりそう。とはいえ文字の読み書きはVR環境よりもリアルの平面モニタの方がずっと快適です。
電源
pico4はPCとの接続でWiFi6があれば有線は要りません。けれど消費電力もそこそこあります。バッテリー駆動では二時間くらいしか遊べなさそう。PCとUSB接続をすれば一応電力は供給されるのですが、PC端子の電力供給機能は頼りなく、うちのゲーミングPCの端子からではpico4の消費電力をまかないきれません。けっきょくWiFi接続&ACアダプターによる有線電力供給という形で利用しています。
pico video
picoのプラットホームでは推しているらしい動画配信サービス。にじさんじがpico向けに限定配信をしていたりします。集中したい映画ならともかくバラエティ的な動画にHMDを被るのはちょっと面倒です。3D動画も(youtubeもですが)解像度が低過ぎて見映えしません。3Dの、ポリゴンの状態で配信されるコンテンツが見たい!
Virtual Desktop
pico4ではメーカーがPC接続用のツール・Streaming Assistantも提供しているのですが、2023年3月時点で問題が多いです。
- 立体音響がおかしくなることがある
- PC側のStreaming Assistantサーバー自体がコケる
- SteamVRのOVRがうまく機能しない
- PCVRでコントローラの認識がおかしくなることがある
いずれも導入から二日の間に複数回起きています。当初これらの問題は原因がわからなかったのですが、Virtual Desktopを導入してStreaming Assistantの使用をやめたらすべて解決してしまいました。実用に耐えないというほどStreaming Assistantが酷いということはないのですが、比較するとVirtual Desktopの洗練度が目立ちます。というわけでpico4、PCVR目当てで導入する方はVirtual Desktopも導入を強く推奨します。
初代quest比で良くなった/悪くなった点リスト
- 前後重量バランスが取れていて装着感は比較にならないくらい良くなった。quest2よりも快適。
- 解像度が上がってVR世界が格段にはっきり見える。
- パススルーがカラーで高精細。初代questやquest2と比較にならないくらい実用的。
- WiFi6対応。WiFi経由のPCVRでもまったく不足がない。初代questはWiFi5世代。
- 画面の真っ黒と真っ白のコントラストがやや落ちて「目映い体験」がなくなった(初代questは有機EL)。光に溢れていた光景が単に明るい光景になった。暗闇がややグレーを感じる黒になった。
- ネットレビューではスピーカー、マイク両方の音質に否定的なものを見かけるが、初代quest比ではかなり良い。PCVR時にマイクの音質が悪いのはStreaming Assistantのせい。単独使用やVirtual Desktopでは問題を感じない。マイクは音質はともかく特性は差があるようでHMDを変えたことを伝えていない友人に「マイク変えた?」と訊かれた。
- 再生音の低音が豊か。
- VRChatしかたぶん遊ばないけどストアがやや寂しい。quest環境でのApp Lab相当のインディーズ・タイトルの配信はなさそう。→android用のAPKファイルを突っ込むとたいていのものが動いてしまうようです。
- 鼻とHMDの隙間が減り、追加の遮光ゴム部品で密閉度が上がり、外の明かりが気にならなくなると同時に曇り(結露し)やすくなった。(冷間時の使い始めだけ。ファンでの換気が始まると曇りは晴れる)
- 眼の疲労感はあまり改善されなかった。
- 解像度は上がったがPCVRでのグラフィック描画の要求性能は大差ないみたい。
VRビリヤード
私のVR利用はほぼVRChatのみです。VRChatで一番時間を使っているのがVRビリヤード。初代questからpico4に更新しての変化は以下の通り。
- 解像度が上がりガイドラインがよりはっきり見えるようになった。
- ガイドラインなしで遊んでも狙いやすくなった。
- 装着感が大幅に改善されて長時間快適に遊べるようになり、三時間くらい続くVRビリヤード大会でもHMD装着が苦にならない。
- コントローラのトラッキングは初代questより安定する。認識範囲も広いようでキューを大きく引いてもトラッキングが外れない。
フィットネス
pico4はフィットネス向けの機能を重視しているようで標準メニューにFitness機能(HMDを付けた状態での活動量計)が用意されています。購入・ユーザ登録時に提供される特典ゲームもフィットネス要素の強いものです。オプションで足につけると思われる運動量計も予定されているようです。
pico4版VRChat
2023年11月、pico4にもVRChatのアプリが登場しました。quest版相当のものです。
登場当初は表示が多少乱れていたりしましたが12月には不具合らしい不具合もなくなったようです。そしてこのオール・イン・ワンVR環境用のVRChat、かなり優秀なことがわかりました。
- 初代questはスペックがぎりぎりでquest向けworldであっても表示はとても軽快とは言えなかったがquest2とほぼ同スペックのpico4では快適。
- quest向けworldだけしか訪れることができないのは変わらず。
- 表示は初代quest比でははっきりと高精細になって見映えが大幅に良くなった。
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