PCディスプレイ ASUS PROART PA329CRV 購入
Dell U2713HM
これまで使っていたDellの27inch WQHDディスプレイを買ったのは2013年の4月。11年使って特に調子の悪いところがあるわけではないのですがsRGBさえカバーしきれないモデルです。併用しているiMacとは写真のレタッチで印象に差が出てしまうのが気になっていました。新調しても良い頃合いです。
画像レタッチ用
現在のWindowsPCの用途は
- VRChat
- VR写真の編集
- リアル写真の編集
- テキスト編集、組版
というあたりです。比重としては画像編集がメインで高精細画面での組版もできれば嬉しい、という感じでしょうか。VRChat以外のゲームはしないので高リフレッシュレート対応のゲーミングディスプレイでなくても良さそうです。
- 写真レタッチ向きの色再現性
- 高FPS不要
- 広いデスクトップが欲しい
というわけでこれまでより少し大きい31.5inchのASUS PA329CRVが候補に。LGのKVMが搭載されたほぼ同じスペックのIPS BLACKディスプレイも次選の候補にはなったのですが、消費電力が比較的少ないらしいPA329CRVにしました。価格も同スペックのライバルたちより安くなっていたようです。
PA329VRC購入
Amazonにて購入。翌々日に到着。画面サイズは27inch→31.5inchとわずかに大きくなっていますがパッケージの大きさは旧型のDell27inchと大差がありません。設置しても印象は変わらず。
大きく重い31.5inchディスプレイを安全に開梱&組立する手順がパッケージへの工夫となって凝らされています。日本メーカーがかつて得意とした細やかな気配りがより洗練され台湾メーカーに引き継がれているようです。
同梱品
PA329CRVは
- DisplayPort
- HDMI
- USB3
三系統でPCと接続でき、それぞれのケーブルも付属します。今回はDisplayPortで接続することにしました。HDMIもDisplayPortもコネクタが微妙に違うだけで機能の差はなくなったっぽいです。デイジーチェーン接続も可能です。
実機レビュー
設置
開梱しながらスタンドを組み付けていくようなパッケージになっていて、大きくそこそこ重いディスプレイを安全に組み立て、取り出せるよう工夫されていました。これが今時の標準なのかな。梱包サイズもDell U2713HMの梱包より小さいくらいで洗練されていました。
画質
これまでのDell U2713HMとの比較では格段に発色が良くなりました。5K iMac2017との比較でも(光沢・非光沢の違いはありますが)遜色はないです。画面・印刷双方のカラーチャートを比較してみてもなかなか優秀。実写・VRChat双方の画像レタッチが行いやすくなりそうです。非光沢の画面は紙に近い表示ができている印象。
色空間はDCI-P3 98%というスペック表示はありますが同ProArt PA327CRV 27inchモデルのようにadobeRGBの色空間カバー率が表記されていなかったりするのは少し残念。
上の画像はカラープロファイルから色度図を作成してみたもの。
- 紫 DCI-P3色空間
- 黒 Asus ProArt PA329CRVの色空間
- 灰青色 AdobeRGB色空間
DCI-P3にかなり接近していて動画編集をターゲットにしているよう見えます。
HDR
HDR機能はWindows11自体でモードを切り換えなければならず、切り換えると画質調節ができなくなります。Windows的にはゲーム・動画向けモードっぽい。使いづらい…。液晶パネル自体の10bit表示が生きるのはこのモードならではのはずなのですが。
起動速度
PA329CRVはスリープからの復帰や電源オフ状態から表示が可能になるまでのレスポンスに時間がかかります。スリープからの復帰は数秒の待時間が生じるため、設置からしばらくは戸惑いました。またAmazon Prime Videoを再生しようとしたときに画面がブラックアウトしたままになることがあります。電源の切断、再投入で対処していますが好ましいとは思えません。
映り込み
5K iMacの光沢画面でも表面の反射はほぼ気になりませんが非光沢のPA329CRVはさらに優秀で、これまでのDell U2713HMより映り込みははるかに少なくなりました。ディスプレイ上端に引っ掛けて使うタイプのデスクライトの光も反射が目立つのはベゼル部分のみ。
大きさ
27→31.5inchと大きくなり108→140dpiへと精細になりました。作業領域も広く取れるようになったのですが、画面中心と左右端とで視点からの距離に差ができてしまい読み取れる文字のサイズに差が出ます。27inch以上は湾曲ディスプレイの方が良さそう。また液晶視野角か視差の問題か左右端ぎりぎりベゼルとの境界部分が後ろに曲がってるかのような錯覚を生じます。
外観
ベゼルは今時の製品らしく5mmに満たない……と言いたいのですが表示領域端に何も表示されない部分があるので実質的に10mm程度のフチがつく感じです。だったらiMacみたいに前面カバーで端まで覆って物理的なベゼルなくしてくれればいいのに。下部のベゼルだけ出っ張っていてOSD用ボタンが並んでます。液晶パネル以外の部分は全体に黒のプラでデザイン的には無難というか格好悪いというか。フツーです。
OSDメニュー
もう20年以上、いやディスプレイがブラウン管であった頃から大差のない見映えせず操作性も良くないディスプレイの機能設定画面。もうOS側から設定するのが当たり前なのだからディスプレイのボタンもOSD画面もいらないのかもしれない。マイナーOS向けならいっそスイッチは背面でも構わないのでは。
スタンド
これまで使用してきたDell U2713HMのものと大差ないです。スタンド底面の面積も大きめでちょっと邪魔。可動部の動きがあまり滑らかでないせいか、構造材自体はちゃんと剛性があるのにぎしぎしゆらゆらする頼りなさがあります。九万円の商品でこれか、と寂しくなります。エルゴトロンのLX欲しい。
端子
背面の各種端子は十分ですが、側面か前面にUSB端子が欲しかったです。PC本体が手近に設置されるとは限りません。
音
一応スピーカーが内蔵されてはいるのですがAmazon Echo Dotより酷い音質です。今時こんな音のするPC機器は珍しいのでは。20年前の最廉価クラスのビジネスノートパソコンみたい……。9万円近くするディスプレイで? DCI-P3 98%を謳うディスプレイは動画編集が標的ではないのかしら。どうせ高品質な音声編集環境もあるはずだからスピーカーはへっぽこでもいい? なら、音声機能そのものがいらない、と言いたくなるくらいダメな音響です。
けっきょくAmazon Basicの2000円くらいのUSB電源スピーカーを買いました。無難に鳴ってるだけですがだいぶマシな実用範囲。
発熱
輝度最大で使用していても筐体も画面表面も熱をほとんど感じません。かなり省電力性の高い製品のようです。ライバル製品の半分程度の平均消費電力というスペックも納得です。
実使用
unityのように3D、ヒエラルキー、プロパティ、ファイラーと様々なものを同時に表示するソフトでは広くなった画面が快適です。複数ソフトを並べて表示するのもより便利に。
画像の表示やレタッチは期待通りの品質で満足度は高いです。「表示が綺麗」「色鮮やか」かどうかはよくわかりません。見た目の鮮やかさなら最新テレビの方が優秀かと思います。
まとめ
VR写真の画像レタッチ頻度が上がり、Windows環境の色再現性が気になっていたので広色域のクリエイター向けモデルを選んでみました。これまでのWindows作業環境がしょぼかったこともあり、カラーマネジメント環境がほどほど整って良かった気がします。
音響はゴミ。
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