カテゴリー「ScanSnap」の8件の記事

Scansnap+新しいiPad=?

 iPadの購入目的にScansnapで電子化した、いわゆる“自炊”データの利用がありました。
PCニュース系サイトでも特集記事が組まれていたりしますね。

 PCニュースサイトでもしっかりした“自炊”記事が出てくるようになって、個人ブログでは手順やレビューの必要もなくなった気がします。

iスキャミルもどき?

 初代iPad、iPad2では解像度不足でスキャンデータの閲覧には向いていませんでしたが、新しいiPadの2048×1536、264dpi表示は印刷品質に近く、スキャンデータも実用的に表示できると思い購入に踏み切りました。
 感想。

ようやく“自炊”データの表示環境が整った。

 この一言に尽きます。
 もちろん“自炊”環境としてはまだまだ問題山積みです。

  • iPadのフラッシュメモリ容量が足りない
  • 上記を補うために自宅NASのデータをパーソナルクラウド化して参照したいが煩雑でまだ実用度が低い
  • Spotlight(デスクトップ検索)が自炊データを対象にしていない
  • パーソナルクラウドのセキュリティが心配
  • “自炊”はやっぱり面倒臭い

 最後の「面倒臭い」はiPadとは関係なく“自炊”についてまわる問題です。以前の記事「ドキュメントスキャナ ScanSnap・その5」にもまとめましたが、結論だけ書くと「労力対効果で“自炊”は割にあわない」という話です。

 2048×1536ドットの液晶はScansnapでの作業も変えそうです。以前は300dpiでスキャンし200〜250dpiに縮小していたのですが、260dpi超のiPadで縮小は無用です。300dpiのままコントラスト調整と、モノクロ原稿の場合にはプラス・グレースケール化で十分。トーン部分のモアレ対策も特に必要なさそう。これまで作成した自炊データは微妙に見劣りするようになりました。
 Scansnap自体も第3世代iPadの登場で画質の向上が期待されるようになったのではないかと思います。

 高精細画面のiPadで恩恵を受けるのは電子化した書籍を読む人です。
 「何を当たり前のことを」と思われるかもしれませんが私はScansnapで電子化した本は検索して使うばかり――辞書のように使うのが主でした。通読することには使っていなかったのです。パソコンもモバイルも、モニタに十分な解像度がなくて楽しむ水準に達していませんでした。
 新しいiPadではスキャンした漫画も小説も雑誌も十分に快適に楽しめます。
 2012年型のiPadでようやくスキャン書籍を“読める”ようになった気がします。結果、冒頭の「“自炊”データの表示環境が整った」という言葉となりました。

 でも、新しいiPadにはひとつだけ大きな欠点があります。

 重いっ!

 650gは手に持って読むにはキビシイです。

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Scansnapと連携する読書環境・brc+bReader

 以前に、「iPod touchとScansnap」という記事で“イマイチ”と評したiPod touchでの自作電子書籍活用、条件付きですが“使える”環境もありました。
 まずは、iPod touchのスクリーンショットを見てください。

Brc_sampleBrc_sample2

引用元:『出撃!魔女飛行隊』ブルース・マイルズ著 手島尚訳 学研M文庫

 bReaderというiOS Appとそのおまけソフトであるbrcを利用してスキャンした文庫本を表示してみたものです。スキャンデータなのに、文字サイズを変えてリフロー表示できています。

 brcはMac版とWin版の両方があります。

 bReaderはiPhone/iPod touch用の電子書籍ビューワです。ePubや青空文庫形式、PDF、テキストなどの様々なフォーマットの書籍を読むことができるアプリで、bookYARDという電子書籍投稿サイトとも連携しています。

 Scansnapなどのドキュメントスキャナで作成した電子書籍には弱点がありました。iPhoneやiPod touch、あるいは昔のPDAのような小さな画面の端末に表示させたときにとても読みづらくなってしまうのです。スキャナで読み取ったものはただの画像なので、小さな画面に表示させると文字が小さくなるか、ページの一部しか表示できなくなってしまいます。“リフロー”ができないということですね。
 これを解決するには二つの方法がありました。

  • OCRでテキスト化する
  • MeTilTranというツールであらかじめ読みやすい文字サイズ・配置にリフローした画像を作っておく

 前者には認識率の問題があります。使ったことのない人が想像するよりはずっと認識率は高いですが、半端に誤認識が出るために純粋なテキスト化はめんどうです。後者は「画像を文字単位で切り出して(昔の新聞切抜脅迫状のごとく)並べ直して好みの版組に直すというツールで、設定の難しさもあってマニア向きでした。
 ところがbrc+bReaderという環境ならば

  1. スキャンデータのJPG連番ファイル群をZIPで一つにまとめる
  2. brcというツールにDrag∧Drop
  3. ZIPファイルに解析情報が格納される(サイズはほとんど増えない)
  4. iTunesでiPhone/iPod touchに転送しbReaderで表示する

 これだけでリフロー可能な電子書籍となります。なんてイージーなんだろう、と驚きました。

  • 罫囲いされていたり装飾的な体裁の本ではうまく機能しない
  • 縦書きの本専用

 など、不完全な部分もありますが(ver1.01beta11)、今のところiPhone/iPod touchでスキャンした縦書きの本を読む、ということのもっとも手軽で快適な環境であると思います。

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iPod touchとScansnap

A4雑誌の一ページを表示

iPod touch × Scansnap A4雑誌の一ページを表示

新書一ページを表示

iPod touch × Scansnap 新書の一ページを表示

スキャンデータを表示してみた

 “自炊”という言葉とともに「ライフハック」系のコンテンツで盛んに取り上げられるようになったドキュメントスキャナ。「自炊データをiPhoneで活用すればこんなに便利!」みたいな記事を見かけますが、iPadならいざ知らずiPhone/iPod touchの画面で実際はどうなの?と思われた方も多いのではないでしょうか。

 結論から言うとイマイチ

 まずはiPod touchの表示スペックなど。

iPod touch画面仕様
表示サイズ75mm×50mm
画素数960pixel×640pixel
解像度約325dpi

 名刺のサイズが55mm×91mmなのでそれより小さな画面ということになります。
 実際に表示してみた印象では……。

iPod touchでの見やすさの印象
A4版雑誌文字はほとんど読めない。
幅を目一杯に表示して縦スクロールならなんとか読めなくはないが快適とは言えない。
A5(大判)コミック何が書いてあるのかはわかるがあまり快適とは言えない。
幅を目一杯に表示して縦スクロールなら読める。
新書きつい。一応文字は追えるが非実用的。
幅を目一杯に表示すれば可読範囲。縦書はスクロールが面倒臭くて不適。
文庫新書よりはマシだけれど大差なし。
新書・横に同じ。

 お勧めできない感じです。iPod touchの売りである網膜レティーナディスプレイは325dpiと高解像とはいえ、印刷物はさらに高解像度。白黒印刷物は600〜1200dpi以上に相当するものの文庫より小さな版・小さな文字の印刷物はほとんど流通していません。

 下画像は文庫本(2010年刊の創元SF文庫)とiPod touchのメモ(標準フォントサイズ)を並べてみたものですが、文字はかなり近いサイズ。

20110118_03

 このあたりが「快適に」読める文字サイズの下限なのかも。これより小さな文字でも「読める」ものはたくさんありますが(例えば紙の辞書はもっと小さな文字でぎっしり)、長文を読む前提では物理的な文字サイズが欲しくなる気がします。

ストレージサイズ

 iPod touchやスマートフォンの類は格納できるデータ容量も限られています。私が今回購入したiPod touchは32GB。A4/200dpiの雑誌資料を150冊ほど詰め込むとそれだけで他に何も入れられません。それでは私の用途(小説書き用の資料の持ち歩き)には不足です。iTunesでは再生頻度etcによってストレージのやりくりをしてくれるようですが、音楽と書籍——特に資料としての書籍では性格が違います。これまでに読んだもの丸ごと全部にアクセスできないとイヤだ、というのがけっこうな労力を費やして書棚の電子化に取り組んできた者の欲求です。実現するには500GB以上必要なので、現実的な解となると今はネット経由で自宅NASにアクセスするか、ネットストレージということになるのでしょうか。

未読ストッカー

 少し視点を変えて「積ん読防止」に使ってみるとどうでしょう。買ったばかりの本を読む前に電子化して、未読本棚をiPod touchで持ち歩く、という使い方です。これならデータ量も手頃で、iPod touchひとつでいつでもどこでも未読本が手のなかに。スクロールを多用することになりますが、読んでいる間の指は遊んでいます。まあ、我慢することにしてみましょう。

 悪くない、と最初は思いました。
 が、慣れてきた頃に文庫本を買って帰りにそのまま読み始めて見たら比較にならないくらい読みやすい。結局、未読ストッカーとしての利用は早々に挫折して、その日に読む本を一冊紙書籍のままでバッグに放り込んでおく旧来のスタイルに戻しました。スキャン物を読むのなら、文庫サイズ端末の解像度が300dpiに達してから、、、でしょうか。

漫画にはいいかも

 iPod touch×スキャンデータの活用に否定的な内容が続きましたが、愛読漫画を詰め込んでおくのには悪くない、とも思いました。繰り返し読んでいる漫画はセリフも内容も頭に入っていて、画面が小さく細部が読み取れずとも脳内コミック劇場のトリガーとして機能してくれます。
 とはいえ、作画の細かな部分まで楽しんでこその漫画だと思うので、iPod touch以前にスキャンと相性が良くない気はします。印刷物との印象もずいぶん変わりますし。

まとめ

 iPod touchは楽しいデジタルガジェットですが画面サイズは名刺以下。無理な“ライフハック”は四苦ハックの元だと思ったのでした。

関連リンク

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ドキュメントスキャナ ScanSnap・その5

 ScanSnapリンクはAmazonへのまとまったレポとしては最終回です。

一週間分の紙ゴミ。高さ約60cm  四月の上旬に購入して以来せっせと続けていた書籍の電子化ですが、総スキャン枚数37,000枚余――厚さにして恐らくは二メートル分ほど?を作業してみての印象をまとめてみます。50,000枚のパッドユニット(ゴムの紙押さえ)交換時期ももう間もなく、かな。
※三年/300万枚以上使ってきてパッドユニットは四つ目か五つ目、ゴムローラは二つ目となりました。

  1. 書籍の山の解消にはならない
  2. 透明テキスト付PDFの便利さ
  3. スキャンデータとモバイルの相性の悪さ
  4. 意外に使える名刺OCR
  5. こまめなお手入れが必須

 ドキュメントスキャナの使用感はこの五つに尽きると思います。

1.書籍の山の解消にならない

 これは書籍整理をドキュメントスキャナに期待していた人にはがっかりな結論かもしれませんが、偽りのない実感です。スペース確保目的での導入は労力が割に合わないと断言します。
 毎日二時間前後を費やして一ヶ月半、電子化できたのはA4雑誌とB5雑誌計200冊ほど。資料的な意味合いの強い雑誌数種だったので「後で便利に使えるはず」とモチベーションが維持できましたし、実際資料として活用しているので「スキャンして良かった」と思います。けれど、資料としては活用しなさそうな小説・漫画類に同じ労力を費やすのは私には無理です。数千冊の蔵書を電子化しようという人であれば毎日一、二時間使っても年単位の時間がかかります。
 スキャナ自体がちょっとくらい速くなっても書籍の山を片付けるという用途には適さないはず。ネックはスキャン速度ではなく手間と得られる成果にあると思います。(トレイに原稿を放り込んで放置するので、速度よりトレイ容量が大きいことの方が面倒が減る)
 何より、電子化は新しい知見が得られるわけではない、どちらかというと後ろ向きの作業です。

 小説類はとくにスキャンしてしまうと読まなくなるでしょう。スキャンした物の品質は当然ながら印刷物には敵いません。モニタ自体が100dpi未満でスキャンデータを扱うには性能が不足気味です。コミックもスキャンしてしまうと繊細な絵柄の物は見映えしません。特にコミックのスクリーントーンはモアレが出るので相性が悪いです。電子化は資料として検索し参照する見られればいい物には向いていますが、内容を楽しむコンテンツは……デジタル化そのものに熱意を持てる人でないと価値を見出しにくいと思います。

2.透明テキスト付PDFの便利さ

 透明テキスト付PDFは、電子化の最大のメリットです。デスクトップ検索ツールと併用することでスキャンした資料がそのままデータベースになります。現在は整理整頓のためのスキャンは諦めて95%がこの「検索できる資料データベース」作りとしてのScanSnap利用となりました。残りの5%は後述の「名刺OCR」です。

  • 記事を電子販売しているものはデータ購入がいいかも
  • 画像の上に記事を刷り込んでいるような書籍類はOCRの精度が低く検索利用困難
  • 内容検索ができないのであれば本のまま持っていた方が使いやすい
  • OCRは型番が列記されるようなカタログみたいなものが苦手で「0(ゼロ)(オー)(句点)(丸)」「1(いち)(アイ)(エル)」「8(はち)(イー)」を誤認識しやすい
  • WindowsSearchやGoogleDesktopSearchは「あるはずの単語が検出できない」「ないはずの単語が検出される」問題がある

 細かな問題は多いですが「資料探しの時間を短縮する」ということに対しては電子化は非常に大きな効果があります。

3.スキャンデータとモバイルの相性の悪さ

 モバイルとの相性の悪さ、というのは愛用のZaurusとのことです。
 PDAの中では比較的大きく精細な画面を持つZaurusですが、A4やB5サイズのスキャン画像を閲覧するのは少々荷が重く、また、透明テキスト付PDFでの内容検索ができません。(※QPDF3で可能となった。2008.11.4追記)せっかく資料を電子化しても、それがモバイルで活用できないとあっては片手落ちです。ノートPCならばPDFでもへっちゃらなのですが……。
 ZaurusのPDFの閲覧ソフトがどうにもメモリ食い&処理が重い、ということもあって実用性は低いです。

 2009年3月になってVAIO type Pを購入してみましたが、218dpiの8inch液晶はスキャン資料を綺麗に表示してくれるものの、物理的な縦寸が不足するのであくまでも「検索利用&部分確認用」といった印象です。きちんと読むための環境ならAmazon KindleやSONY readerが欲しいなぁ……。

2012年3月。第三世代iPadを購入。これでようやく表示環境が整いました。ソフトやデータの運用は手探りでまだ「すごく便利」には至っていませんが、あと一歩。

4.意外に使える名刺OCR

 オマケのようについてくる名刺OCRソフト。意外に使えます。2008年の正月に溜め込んだ名刺を読み込ませて整理してみたのですが、認識率も高く、アドレス帳が比較的楽にできあがりました。Zaurusのアドレス帳と連携させて超便利!と言いたいところなのですがOutlookを間に挟まねばならないのが玉に瑕。
 ScanSnapユーザで未体験の方はお試しあれ。人によっては名刺処理がメインの用途になり得ます。

5.こまめなお手入れが必須

 埃。埃もScanSnapの大敵です。
 ScanSnapのように原稿を動かしてスキャンする機械は、読取装置のガラスに埃が落ちただけでスキャン画像に縦線が入ってしまいます。特にカラー原稿では埃ひとつで赤・青・緑のいずれかの原色の線が引かれてしまうので目立ちます。これはもうスキャナをこまめに掃除するしか対処の方法がありません。
 原稿は(古い本であれば特に)濡れ雑巾で表紙や小口をざっと拭くのがお勧めです。裁断部も意外に細かな紙粉がついているものですし。
 スキャナの側はこまめにするのはメガネ拭きで読取部を軽く拭くだけでOK。
 紙の繊維屑は時折、掃除機でぶぃ~んと吸い、不織布に無水アルコールを垂らして読取部を拭いてやるとすっきりします。あ、でもブロアの類で空気を吹き付けるのは厳禁ゴムローラをアルコールで拭くのも厳禁

その他、気になった点

  • 紙質、紙目方向によっては縦罫線が左右に波打つことがある
  • 色つきの紙に印刷された原稿は紙の色が抜けてしまう
  • 柔らかな(厚めの)原稿や写真にはローラの痕とピックアップユニットの爪痕がつく。
  • 原稿トレイ容量50枚は雑誌や書籍の処理には足りない。

おまけ

 コクヨのCaminacsW(A3ドキュメントスキャナ)やキヤノンのimageFORMULA DR-C125など競合機種もあるようです。ScanSnapシリーズ(一覧)にもS300やS1500などの新型も登場しているようです。

おまけ2 裁断機

 PK-513LリンクはAmazonへ『500枚切れる』と売られている物リンクはAmazonへなどが個人ではメジャーでしょうか。後者はPT6176という型番らしくyoutubeに使用動画があるようです。
 私の使用しているのはDC-210NリンクはAmazonへというディスクカッター(の前モデル)ですが、裁断量が40枚(ギコギコと刃を幾度か往復させてようやくと言った感じ)と少なくて面倒。平べったいので収納性は悪くないですがけっこう大きいです。どうせ買うなら本が丸ごと一冊ざっくり裁断できる物が良さそう。

ScanSnap購入レビュー・まとめ

 溢れる本の山を電子化してスペース整理をという目的には少々荷が重いです。フラットベッドスキャナに比べれば楽ですが、やっぱり手間は手間。
 検索利用することが確実な資料の電子化にはとても役に立ちます。日々手に入れる新鮮な資料を新しいうちに電子化するのが最も効果的。明確なリターンがあるので電子化に伴う手間も惜しくなく継続できると思います。

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ドキュメントスキャナ ScanSnap・その4

 ScanSnapリンクはAmazonへの使用レポ・第四弾。

 ScanSnapを導入して二週間。
 暇さえあれば紙ゴミを生産している毎日です。そしていつの間にかけっこう散財してしまいました。

  • 裁断機 …… 約1,000円
  • PC部品 …… 約45,000円

 裁断機を使うために職場に書籍を持ち込むのもいい加減面倒になってきたのでロータリーカッターの裁断機を見つけてきました。A4が裁断できるcarlというメーカーの物。ガレージセールにて入手。新品を買うと一万円以上するようです。
 PCの方はScanSnapを使いながら画像のレタッチやら何やらを並行作業するための性能アップでCPU+メモリ+マザーボードとほぼ中身の総入替。webブラウズやテキスト入力程度では性能アップなど感じられませんがスキャンと画像処理を平行処理しながらでも日常使用の快適さが維持されるようになりました。

 結果的にそこそこ物入りとなってしまったドキュメントスキャナ導入。お金だけでなく時間も食います。
 作成した資料の活用をするどころか自由になる時間をスキャンに使っていて、本末転倒のような気がしてきました。

 前回予告した「ドキュメントスキャナに向かない原稿」ですが。

マンガ
 マンガというより縦横に罫線が引かれているもの全般でしょうか。紙質や紙の目の向きにもよりますが、原稿の送り方向の罫線が左右に揺らぎます。特にA4サイズの雑誌で顕著。
和紙
 紙に腰がない、毛羽立ちが強め、ということで凝った印刷物に稀に使われる和紙はミスフィードが目立ちます。
写真プリント
 スキャン自体には(画質に妥協できれば)問題ありません。が、印画紙は張りがあるせいか排紙トレイに送り出した写真が次の写真に押し出され散乱します。写真の側にローラ痕もついてしまいます。画質はカラーコピー程度の感じ。
付箋のついたもの
 付箋や見出しラベルが貼られた原稿は基本的にNGです。付箋やラベルの貼られた方向によっては問題がないこともありますが……。
ルーズリーフ
 給紙音がかなりうるさい。パンチ穴のエッジが立っている紙は二重送りが発生することも。
免許証やカード
 以前の薄いものならばOKですが、ICカードになっている最近の厚めのものはNG。

 意外とオールマイティです。ありふれた本でも紙質によってはまったく給紙できないものもあったりするので結局試してみるまでわかりません。

 そうだ。2ch掲示板で見つけた豆知識。
 ScanSnapにはScanSnap Organizerというツールが付属し、PDFとして取り込むと自動的にOCR(文字認識)にかけてくれます。OCRはけっこう時間がかかるのでScanSnap OrganizerではPCの空き時間を利用してPC利用の邪魔にならないように処理するのですが、JPEGスキャン→画像レタッチ→PDFという手順でPDF化するとこの自動OCR機能で処理できません。
 そこで。

 ①JPEGスキャン→画像レタッチ→PDF …… これを"aaa.pdf"とする。
 ②ScanSnapから直接PDF形式でダミーを一枚だけスキャン …… これを"bbb.pdf"。
 ③Acrobatで"bbb.pdf"を開き"aaa.pdf"を挿入。上書き保存。

 これで"bbb.pdf"はScanSnap Organizerのフォルダに放置しておけば自動的にOCRがかけられます。

 そうそう。さらにもう一つ豆知識。
 ScanSnapOrganizerで行われるPDFのOCRですが、上記①~③のようなレタッチ作業を含む場合は個々の画像の解像度設定をしておいた方がいいです。画像のプロパティで200dpiとか300dpiとか表示される部分。レタッチツールによっては解像度情報が消えたり不正確な数値になってしまいます。私は「解像度変更君」というツールで正確なdpi値に変更しています。この数値設定をするとacrobatでの表示時に「100%」でWYSIWYG等倍が正確に出せるだけでなく、ScanSnapOrganizerのOCRが高速になります。(dpi値ナシのままにしておくと時間がかかる)

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ドキュメントスキャナ ScanSnap・その3

 ScanSnapリンクはAmazonへ購入レポ・その3です。

 ドキュメントスキャナを購入した理由は二つあります。

  • 書き物の資料をパソコン上で利用したい。
  • 処分する勇気の持てなかった書籍を一掃したい。

 透明テキスト付PDFとデスクトップ検索の組み合わせはとても便利です。これまではフラットベッドスキャナで(スクラップブックを作るような感覚で)一ページずつスキャンして資料を蓄積してきましたが、ドキュメントスキャナで資料を丸ごと電子化できてしまえばより効率的にパソコン上に資料を集積できるはず。

 その延長として、電子化した資料の原本は必要なくなる、はずです。
 部屋の三方を埋め尽くした本棚の中身をすべて電子化できれば部屋が広くなるなぁ……と考えました。書物として取っておきたい本、というのは確かにありますが、いつか必要になりそうな気がして(でもたぶん二度と開かない)捨てられずにいる本の多いこと。

 ですが。
 ドキュメントスキャナを導入しても魔法のように本が片付くことはないでしょう。

 ScanSnapを購入して数日。文庫本を十二冊……他、雑誌やパンフレット、ムック等計二十数冊を解体し、丸ごとスキャンしてみました。本の解体は職場にあった裁断機を使ったのでほとんど手間いらず、解体本は積み上げると四十センチほどの高さになりました。
 スキャン自体も労力は要りません。ですが、書籍の解体作業とスキャンの間に、糊が残っていないかを確認する作業が必要で、それなりに手間がかかります。スキャンそのものも原稿をトレイに追加するだけとはいえ、数分おきに原稿を追加するので手離れはあまりよろしくありません。こまめに作業を要求されるので、同時に集中を必要とする並行作業ができないのです。
 ScanSnapの導入で電子化作業は劇的に楽になったのですが、その対象になる作業量が膨大なために「追いつかない」のが直感的にわかります。高々二十数冊の本を電子化するのにかかった時間と手間を考えると、壁を埋め尽くした本棚の中身を処理し終えるのにどれほどの時間が必要なのか。げっそりできること請け合いです。OCR(文字認識)処理もスキャン速度に比して遅く、高性能なパソコンが欲しくなってしまいます。(OCRはただ放置しておけばよいので手間自体はまったくかからない)

 そもそもが本棚に詰め込んである本のどれほどが資料として価値があるのでしょう。小説類も繰り返し読むのは本の山の中の数冊のみ。そんなデッドストック状態のものを電子化して意味があるのか、ということになります。
 答えは当然ノー。
 資料として必要なものは確かにありますし、それをドキュメントスキャナで電子化するのは十分に元の取れる作業だと実感できますが、ただ処分するのがためらわれた本たちに電子化の手間をかけるのは無意味と気づきました。
 というわけで今週末は心を鬼にして本棚の本を

  • 読めそうな本は古本屋行き
  • 資料として使いたいものだけスキャン
  • 日焼け・表紙消失本は資源ゴミ

と分類整理して部屋をすっきりさせることにしました。便利そうな道具にも限界はあるということですね。

 書籍を電子化するなら「読み終えてすぐ」が良いかもしれません。何事も溜め込むとろくなことはないようで……。

 次回は「ドキュメントスキャナに向かない書籍」について書いてみようかな。

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ドキュメントスキャナ ScanSnap・その2

購入初日のスキャン成果 FinePixF10 1/26sec F4.3 18mm ISO400  前回の記事に続いて富士通のドキュメントスキャナ、 ScanSnapリンクはAmazonへの使用レポ・その2です。

 ScanSnapはパソコンに厳しいスキャナのようです。
 私のパソコンはAthlon64 2800+、メモリ512MBですが(2007年3月当時。2008年現在に売られている物であればまず性能不足は感じないはず)、負荷のかかる作業をしているときにはScanSnapの紙送りが遅くなります。文章を書いていてもスキャン中はかな漢字変換の反応が非常に悪くなったりします。大量の画像を扱うのですから当たり前といえば当たり前ですが、それなりの性能のパソコンが必要かもしれません。ハードディスクも230GBあるのですが、あっという間に食いつぶされてしまいそう。

 ScanSnapはPDFでの出力を前提にした商品らしく、PDF以外の形式ではカラーモード時のみjpeg保存が可能と、あまり細かな設定はいじれないようです。大量のドキュメントを扱う道具として、全自動でPDF、という使い方が想定されているようです。
 でも全自動ではなかなかこちらの意図通りにはならないこともあります。
 古くなって黄ばんだ本をスキャンするときにはできれば黄色味は抜けて欲しいのです。でもそれをするには画像レタッチソフトを通さないといけないので、標準ユーティリティおまかせのワンタッチでは済みません。う~む。悩ましい。

 面白いのが付属のadobe acrobat。
 adobe readerの方はフリーソフトということもあって触れたことのある人も多いかもしれませんが編集のできるacrobatは高価なソフトなので縁がないかもしれません。正直、機能的には「定価高すぎ」としか思えないソフトです。編集と言ってもワープロのようなことができるのではなく、印刷物を扱うように「ページごと削除」「ページ挿入」ができるだけです。リンクを張ったりコメントを埋め込んだりと電子出版物らしい操作もできるけれど、自由度は低めです。
 ところがScanSnapにはacrobatに加えacrobat用のタイムスタンプ100カウント使用権が付属してきます。これは時刻刻印による電子署名機能。ユーザが「この日時に確かにスタンプを押した」ことを証明するものです。これが意外に役立ちます。「署名なんているの?」と思われるかもしれませんが、デジタルデータのオリジナル性を主張するために必須の機能なのです。スキャン以外のジャンルでも十二分に使い出がありました。
 残念なのが追加スタンプの小売りが1000カウント(10500円)単位なこと。事業所ならともかく、個人ユーザは100カウントずつで十分です。(スキャンしたもの全部にいちいちスタンプはつけない)

 しばらく使ってみて思ったのがやはり手間です。。
 スキャン自体は手間いらずです。トレイに原稿を突っ込んでおけばするするとスキャンしてくれます。
 でも、本や雑誌をスキャンするなら裁断しなくてはいけませんし、裁断した紙束に背糊が残っていたりしないか確認しないとスキャンが滞ります。ホチキスで閉じられた書類などは確実にホチキスを取り除く必要がありますし。スキャンを終えた紙束が小刻みに増えていくのも煩わしい。自治体によってはリサイクルで紙質による分類を求められるところもあるでしょう。
 オフィスならば作動音も気にならないと思いますが、この機械はプリンタの紙送り機構が動き続けるのと同じで自室で使うとけっこう気になる音を発しもします。深夜に使うと家族に嫌な顔をされるはず。

 次回レポでは「ScanSnapで本の山は消えるのか」について考えてみようと思います。

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ドキュメントスキャナ ScanSnap・その1

 ドキュメントスキャナなるものを買ってみました。富士通のScanSnapリンクはAmazonへ という機種です。ちょうどモデルチェンジ直後で安くなっていた旧型(S500)です。

 ドキュメントスキャナはプリンタ風のスキャナです。事務用FAXみたいに原稿束をセットしておくとそれを順次吸い込んでスキャンしてくれる機械。
 捨ててしまうのがためらわれる本や雑誌が溜まっていて、処分のきっかけが欲しかったのです。

ScanSnap 画像では原稿が正立していますが、本当は逆立ちしてセットします  右の写真はさっそく取り込みしてみたシーン。テストスキャン中で、原稿の差し込み方向が間違っちゃってます。

 本や雑誌を解体、スキャンして透明テキスト付PDFにします。

 透明テキスト付PDFというのは画像としてスキャンした文書にOCR処理を施して内容を検索可能にしたものです。デスクトップ検索機能で資料として活用するためです。スキャン画像なしで完全にテキスト化して活用するにはOCRはまだ頼りないですが、検索キーワードとして使う程度ならば十分に実用になるようです。

 書籍はカッターで解体。プリンタのシートフィーダ機構と同じような仕組みで紙送りをするので単票にする必要があります。裁断機があれば楽なのですが……。

 書籍の裁断さえきっちりとやってあれば複数枚の原稿を同時に吸い込んだりするミスはないようです。優秀。
 スキャン速度は事務用コピー機にはかないませんがそれでもかなりさくさく。セットできる原稿の枚数が30~40枚(の両面×2ページ)くらいの感じで、トレイに放り込んだ原稿はコーヒーを淹れに席を立っている間にスキャンが終わります。スキャン速度の割にトレイ容量が少なめかな。手間はかかりませんが、本一冊丸々放置してスキャン終了……とは行かないのが残念。ビジネス資料を数枚~十数枚をさくっとスキャンするなら目の前で作業が終わるので、本来の用途はそういう方向でしょうか。

 スキャナとしての画質は、これまで使っていたフラットベッド型がCanonのLide30という古い廉価機だったのでScanSnapの方が優秀です。が、雑誌程度ならともかく、カラー写真をきれいに取り込みたいというような場合にはフラットベッド型の現行モデルの方が良いはず。

 これさえあれば邪魔な本や雑誌、資料類が片付くぞ、と思ったのですが、本の解体と資源ゴミとしての処分、スキャンデータの用途別の加工……などと考えるとけっこうな手間になりそうです。(Zaurusで使いたい資料はあまり嵩張らないサイズのjpegに、デスクトップPC用は透明テキスト付PDFに、とか欲張ってしまう)
 少し使い込んでみないと便利かどうかは判断がつかないかな。
 でも、目の前でするすると吸い込まれていった印刷物が特に手をかけなくても一塊のPDFになって完成するのは新鮮です。

参考リンク

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